子どもとの愛着関係を築きにくい保護者
保護者に子どもへの接し方のコツを伝える
子どもが気になる行動をする背景には、本人の特性や環境面だけでなく、保護者との関わりについての問題が隠れていることもあります。日常生活で育児を楽しめない瞬間は誰にでもあるものですが、それが行きすぎると、親子が適切な愛着関係を築くことが難しくなってしまう可能性もあります。
- 物事に対して極端に消極的
- 感情や感動が薄い
- やり切る気持ちが弱い
- 「大きくなったら〇〇したい」といった前向きな言葉が出ない
- 「見て見て!」など、大人からの評価を求めようとしない
- 過度な甘えや接触
- 暴言、暴力
こうした様子が子どもに見られる場合、保護者支援についてもより積極的に検討してみましょう。保護者に子どもへのよりよい接し方などを具体的に伝えることで、子どもとの関わり方を振り返ってもらえるといいですね。
愛着関係を築きにくくなってしまう背景
それでは、親子が愛着関係を築きにくくなってしまう背景には、どんなことが考えられるのか見ていきましょう。
育児に関する知識や経験が不足している
イヤイヤ期の子どもの言動を「私のことが嫌いだからわざとやっている」ととらえるなど、子どもの発達に関して誤解が生じています。大人と子どもは違うことを
根気よく説明し、認識を変えてもらう必要があるでしょう。
さまざまな要因が重なり、心の余裕が持てない
保護者が孤独な状況に置かれていたり、人間関係や経済的な問題、健康上の問題などで深刻な悩みを抱えていたりすると、子どもをかわいがったり、子育てを楽しんだりする余裕をどうしても持ちにくくなります。
保護者自身、親と愛着関係をうまく築けなかった
「愛着」は乳児期の母親との関係からスタートし、成長と共に対象が変化していくもの。自分が子ども時代に親との愛着関係を築けていなければ、わが子との愛着形成も未熟なものになりやすくなります。
子どもへの思いが安定せず、極端に揺れ動く
親であっても、子どもへの思いが変化するのは当然のことです。しかし、その程度があまりに極端である場合、愛着関係の形成に影響しかねません。子どもへの見方がマイナスに傾かないよう、サポートが求められます。
【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史
【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史
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公開日:2024.06.30