親権や同居にかかわらずある養育費の負担義務
養育費は両親(りょうおや)の義務
養育費とは、子どもを育てるために必要な費用のことで、子どもの生活費や教育費など、子育てに関する費用のすべてが含まれます。
父母は経済力に応じて養育費を負担する義務があります。離婚した場合は、子どもと別居している親が同居している親に養育費を支払うことになります。実際には、母親が親権を持って同居することが圧倒的に多いので、その場合は父親が支払うことになります。
養育費を支払う期間は、子どもが成人するまで、または教育機関を卒業して就職するまで、とするのが一般的です。支払う期間が長期にわたることから、その間に失業や病気などによって支払う側の経済的余裕がなくなることがあるかもしれませんが、その場合も養育費を支払う義務がなくなることはありません。
子どものために必ず受け取る
一方、子どもには養育費を受け取る権利があります。ところが、「今後、相手とかかわりたくないから養育費はいらない」「子どもに会わせてくれないなら養育費は支払わない」と分ける代わりに養育費は支払わない!」という親の勝手な事情で養育費が授受されないケースが多くあります。養育費は子どもの成長になくてはならないお金。子どものためにしっかり取り決めをして、それぞれが支払いと受け取りを確実に行うようにしましょう。
ポイント
- 親権を取らなかったとしても、養育費の分担は拒否できない。
- 分担額は、収入の多いほうの親と同等の生活を送ることができる額が目安。
- 養育費は、財産分与や慰謝料などの離婚にまつわる費用とは分けて考える。
養育費ってどんなお金?
養育費に含まれるもの
【養育費に含まれるもの】
- 子どもの生活費
- 子どもの教育費
- 子どもの医療費
- 子どもの交通費
- 子どもの娯楽費
- 子どものお小遣い
養育費を支払う人
原則:父母の双方が経済力に応じて支払う
離婚後:別居している親が同居している親に支払う
※経済的に苦しくても、自分が再婚しても支払う
養育費を支払う期間
原則:成人するまで
高校を卒業する(18 歳)まで、大学を卒業する(22 歳)まで、というように、教育機関を卒業して就職するまでとするケースもある
【森元先生からのアドバイス】養育費は先の長い話のため、何から何まで離婚時に決めておくのは無理ですが、少なくとも、1月々の定額分、2進学などのまとまった出費がある際の分担法、は決めておくようにしましょう。
【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり
【書籍情報】
『増補改訂版 前向き離婚の教科書』
著:森元みのり
心の整理方法から、金銭問題、子どもの問題、離婚手続き、離婚後の生活設計までをコミックと図解でわかりやすく説明しています。6年ぶりの改訂版では、法改正に伴い、養育費の現状、ひとり親支援、再婚の注意点、熟年離婚、子連れ再婚、事実婚・内縁の離婚、共同親権などを新たに追加しました。離婚に悩む方へおすすめの一冊です。
公開日:2024.06.20