高所恐怖症や多重人格も不安障害?
私たちの生活の中には、ともすると見過ごしてしまうほど日常的になってしまっている不安障害があります。具体的にどんなケースがあるのでしょうか。
身近にひそむ3つの不安障害
ヘビや犬などの「動物」、雷や地震といった「災害」、閉所・高所・病院・飛行機など「特定の場所」をそれぞれ恐怖の対象とする疾患を「限局性恐怖症」といい、不安障害の中でもっとも患者が多いものです。
また、実際には異常がない、あるいはささいな心身の不調にすぎないのにもかかわらず、医師に重大な症状を訴える「心気症」も不安障害のひとつといえるでしょう。
心身が自分のものと感じられなくなり、記憶をなくす(健忘)、家出をする(遁走)、別の人格を持つ(多重人格)といった「解離性障害」も、不安障害と関係します。
不安障害と関連したさまざまな疾患
それぞれ症状は異なりますが、不安障害と関連する場合もあるので、知っておいたほうがよいでしょう
限局性恐怖症
動物や昆虫、水や台風などの自然環境や自然災害、血液や注射、閉所など、特定のものや状況を極端に恐れる。
心気症
実際に異常はないのに、体に不調や疾患があると信じ込んだり、自分の外見に欠陥があると思い込んだりする。
解離性障害
自分が自分でないように感じたり、現実感をうしなったりする。いわゆる「多重人格」も解離性障害の一種とされる。
転換性障害
立てない、耳が聞こえないなど、体に問題がないにもかかわらず、運動機能や感覚機能に何らかの症状をきたす障害。
自己臭症
対人恐怖症の一種とされる症状で、自分の体が不快な臭いを発していて、他人に嫌われていると思い込む。
気分変調症
うつ病と同じ気分障害に分類される症状で、うつ病ほどではないが、憂うつな気分が2年以上続く状態。
ほかにも「うつ病」や「適応障害」、「統合失調症」なども、不安や恐怖が主な症状としてあらわれる場合があります
【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修
【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修
現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
一概に不安障害といってもさまざまな症状があり、突然理由もなく激しい不安に襲われて発作などを引き起こす「パニック障害」や、謎の強迫観念にとらわれて意味のない行為を繰り返す「強迫性障害」、若者に多く人前にでると異常に緊張して体調を崩す「社交不安障害」などタイプは異なります。
本書ではそのような不安から引き起こされる心の不調について、症状例をそえて専門医がわかりやすく解説。自分の「不安障害度」を簡単にチェックできる診断テストも掲載。病気を自覚し、その症状にあわせた治療を受けられるようサポートする一冊です。
公開日:2024.12.07