どうすれば自己否定から抜け出せる?
自己否定しがちな人には、いくつかの特徴があります。もし、「自分に当てはまる」と感じた場合は、外部の「肯定的な声」に耳を傾けてみましょう。
否定的な自分もあえて肯定する
「自分はダメな人間だ」と落ち込むことは誰にでもあります。仕事や試験、恋愛で失敗したときなど、原因がはっきりしていればなおさらです。
しかし、これといった理由もないのに、「自己否定」の感情が長期間続いたり、「自分なんていないほうがいい、生きていても仕方ない」などと否定の度合いがエスカレートしたりした場合は危険です。精神疾患の症状であることも考えられるので、早急に治療が必要です。
自己否定の感情を抱きやすい人の特徴として、以下の3つのことが挙げられます。
1つ目は目標や理想の設定を高くしすぎることです。短期間で急激に瘦せようと思ったり、いきなり難しい資格に挑戦したりして、それが達成できないと、自分を責めてしまいます。2つ目は他人と自分を比較する傾向があることです。他人ができていることを自分はできないなどと考えて、いちいち落ち込んでしまいます。3つ目は感情を表に出すのが苦手なことです。ネガティブなことをいって周囲に嫌われたくないという思いも強く持ちます。
こうした3つの特徴に心当たりがあったとしても、すぐに変えよう、やめようとするのはかえって逆効果です。大事なのは、まず、ありのままの自分を受け入れること。「自己否定の感情を抱きやすい」部分を認め、次のステップへ移りましょう。
肯定的な声を集め、耳を傾ける
アメリカの心理学者ジョン・ゴットマンらは、結婚と離婚について研究する中で「5:1の法則」を提唱しました。1つの否定的な声を打ち消すには5つの肯定的な声が必要という考え方です。この法則にもとづき、大企業の経営者に対するコーチングで知られるアメリカのサビーナ・ナワズは、「自己否定の内なる声に打ち勝つ4つのステップ」を提示しています。例えば会議のプレゼンで失敗し、上司からダメ出しをされてしまったとします。
落ち込んだ後で構いませんから、上司の言葉をじっくりと思い出してみましょう。「元気なのはいいけど、商品の魅力が伝わらない」、「資料の見た目にこだわりすぎて、内容が薄い」など、多くの場合、否定的な意見には肯定的な部分がそえられているものです。「元気に発表できた」「資料の見た目はいい」という肯定的な部分を集め、5つリストアップするのが目標です。もちろん数は目安です。
否定的な考えと肯定的な考えをアウトプットするのも、自己肯定感を高めるのに役立ちます。その日にあったいやなことを1つ、よかったことを5つ書く短い日記の習慣は、感情を表に出すのが苦手な人にもおすすめです。
「自己否定」を克服する方法
批判や否定的な意見や感情にとらわれていると、不安から逃れられなくなってしまいます。そうした悪循環から抜け出すために、肯定的な意見や感情に意識を向けるようにしましょう
❶自分の「よい面」を探す
失敗を反省することも大切だが、それよりも重要なのが、自分のよい面や得意な分野をのばすこと。自分のよい面をたくさん知ることで、自己肯定感も高まる。
❷肯定的な意見を聞き、受け入れる
批判的な意見ばかりでなく、肯定的な意見にも耳を傾けることで、今後も「反復すべき部分」がわかり、発言者の側も「肯定的意見も役立つ」ことがわかる。
❸肯定的な意見を掘り下げる
批判的な意見を受けたときと同様、肯定的な意見についても「どこがよかったか、何が役立ったか、なぜ有益だったのか」など、よかった点の具体例を集める。
❹肯定的な意見のままに行動する
発言者による自分への肯定的な意見や評価を信じて、発言者が感じているままの自分として振る舞い、行動する。
自分の「よい面」を探し、意識的に「肯定的な意見」に耳を傾け、その「肯定的意見のままの人間」として振る舞うことで、 あなたの中の自己否定的な感情は消えていくことでしょう
CHECK!
- 否定的な考えにとらわれてしまったときは、その5倍の肯定的な意見や考えで打ち消すことができる
【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修
【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修
現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
一概に不安障害といってもさまざまな症状があり、突然理由もなく激しい不安に襲われて発作などを引き起こす「パニック障害」や、謎の強迫観念にとらわれて意味のない行為を繰り返す「強迫性障害」、若者に多く人前にでると異常に緊張して体調を崩す「社交不安障害」などタイプは異なります。
本書ではそのような不安から引き起こされる心の不調について、症状例をそえて専門医がわかりやすく解説。自分の「不安障害度」を簡単にチェックできる診断テストも掲載。病気を自覚し、その症状にあわせた治療を受けられるようサポートする一冊です。
公開日:2024.12.20