第9回 FAに対する思いと契約更改について、本音でトーク!
身体を休めるのは数日のみ、早期自主トレスタート!
ラブすぽ読者のみなさん、読売ジャイアンツの高梨雄平です。連載の間隔が少し空いてしまいましたが、改めて今シーズンの応援ありがとうございました。4年ぶりのリーグ優勝とクライマックスシリーズでの敗退――。喜びと悔しさ、両方が残るシーズンでしたが、僕はもう来季に向けてのスタートを切っています。今はいわゆる「オフシーズン」ですが、身体を完全に休めたのはCSが終わってからの数日間だけ。そこからはなるべく状態を落とさないように、1月の自主トレ、2月のキャンプインに向けて少しでも上積みができるようにトレーニングする日々を過ごしています。
ジャイアンツからの最大限の評価
さて、今回のコラムでなにを書こうか考えたのですが、時期的にも、そして「ニュース」としてもやっぱり「契約更改」については避けては通れないなと思ったので、書かせて頂きますね。このコラムで散々「プロには飯を食いに来た」と書いているわけだし、スルーも出来ませんよね(笑)。
みなさんもご存じの通り、僕は2024年シーズン中に国内FA権を取得しました。この権利を行使すれば、すべての球団と契約交渉を行うことができます(もちろん、オファーがあったと仮定した場合です)。ただ僕は今回、このFA権を行使せず、ジャイアンツに残留することを選びました。
理由はいくつかあります。まずひとつが、ジャイアンツが「高梨雄平」というプロ野球選手に最大限の評価をしてくれたことです。僕は現在32歳。来年7月には33歳になります。プロ野球選手としては「ベテラン」と呼んでいい域にさしかかっています。そんな僕に、ジャイアンツは複数年契約という最高の評価をしてくれました。正直、このオファーをもらったときはうれしかったです。だって、33歳のシーズンからの複数年ですよ?これが20代だったらちょっと話は変わってくるけど、左の「変則」サイドスローで絶対的なクローザーでも、セットアッパーでもない。言い方は悪いですけど、たとえば僕の「代わり」を探そうと思ったら、ファームから2~3カ月くらい頑張れそうな若手を2~3人連れてくれば、何とかなるかもしれないじゃないですか。もちろん、それが「難しい」という判断のうえでの評価だったとは思うんですけど、やっぱり意気に感じる部分はありました。球団からも「複数年という提示が私たちからの評価だ」と言ってもらえましたし、断る理由はありませんでした。
子どものころ憧れたのはジャイアンツ
もうひとつの理由は、読売ジャイアンツという球団が、やっぱり好きだということです。面白いですよ、ジャイアンツ(笑)。良いヤツもたくさんいるし、プレーしていても楽しいし。あと、僕が子どものころ、やっぱりジャイアンツという球団に憧れはあったんですよね。「いつかはジャイアンツのユニフォームを着たい」という思いは、心のどこかにずっとあったんだと思います。そういう意味では、僕はFA権を取る前に、「トレード」という形ですが子どものころ憧れた球団に移籍することができた。もしかしたらその時点で「FA移籍」という選択肢は消えていたのかもしれません。
ただ、そういう自分の感情を抜きにして「高梨雄平」というプロ野球選手を俯瞰して見たとき、ちょっと考えてしまうこともあるんです。それが、「このタイプの選手がFA市場に出たら、一体どんな評価を受けるのか」ということ。
中継ぎ投手が最短でFA権取得するケースはレア
「このタイプの選手=高梨雄平のような投手」がなにを指すのかというと、まず第一に、目立った故障もせずに、8年間コンスタントに投げ続けているということです。僕みたいな投手は、たいていどこかのタイミングでどこかを痛めてしまうケースがほとんどです。だから、毎年40試合以上を投げ続けて、プロ入りからほぼ最短でFA権を取るケースってあまりないんです。そのうえで、普通はこういう成績を残すと、どこかでセットアッパーかクローザーに「昇格」します。でも、僕はそのケースにも当てはまらない。8年間投げ続けて、ずっと「使い勝手の良いリリーフ左腕」というポジションでプレーしてきました。
次回も引き続き、「契約」や「お金」の話、あとは将来の話も少ししたいと思いますのでお楽しみに!
公開日:2024.12.10