親の最期を看取る
臨終に立ち会う
医師による死亡判定が下されたら、その場にいる人で故人の唇を湿らせ、末期の水を取ります。たいていは、その後に家族だけで過ごせる時間があります。心を落ち着かせ、故人との別れの時間を過ごします。
しばらくすると看護師が清拭や衛生処置などを行うので、遺族と関係者は病室を出ることが多いようです。すぐに駆けつけて欲しい人がいる場合は、このときに連絡してもよいでしょう。
処置が済んだら、あらかじめ用意しておいた衣類に着替えさせ、死化粧を施します。
すべての処置が終わると、遺体は霊安室に運ばれ、遺族は臨終後の手続きや搬送の手配に取りかかります。
末期の水
故人が死後の世界で渇きに苦しまないよう願いを込めて行う儀礼。水を含ませた脱脂綿などで、故人の唇を湿らせます。
自宅で急に亡くなった場合
自宅で亡くなった場合は、ただちにかかりつけの医師を呼んで、死亡確認と「死亡診断書」の作成をお願いします。法律により、医師が来るまでは家族といえども遺体を動かしてはいけません。かかりつけの医師がいない場合、警察に連絡するか、救急病院に搬送します。
変死の疑いがある場合は、警察による検視が行われます。状況によっては行政解剖や司法解剖を行うこともあり、この場合は医師から「死体検案書」が出されます。表題はちがっていますが、内容は死亡診断書と同じです。
臨終後の処置
死化粧
亡くなると肌の色が変化するため、エンゼルメイクという薄化粧を施し生前の顔に近づけるようにします。男性なら髭を剃り全体の身なりを整え、女性の場合は髪をとかして唇に紅を入れます。遺族は化粧のお手伝いをすることで「見送る手伝いができてよかった」と思う方が多く、遺族の心のケアとしても注目されています。
清拭
遺体をアルコールで消毒してきれいにします。浴衣や着せてあげたいと思う衣服を用意していた場合は、事前に看護師に伝えましょう。着替えはたいてい看護師が行い、このときに口や鼻、耳に脱脂綿を詰めます。
【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年
【書籍情報】
『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』
著:奥田 周年
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公開日:2024.09.05