社内での対応
上司に「ご苦労様でした」は失礼
職場でなんの疑問ももたずに使っている言い方にも、とんでもない間違いが見られます。上司が外出先から帰社した際や、1日の仕事を終えて引きあげるときなど、
「ご苦労様でした」
なんて言っていませんか?ねぎらいの気持ちを素直に言葉にしたこの言い方、相手が上司では失礼に当たるのです。些細なことにはこだわらない鷹揚な上司なら聞き逃してくれても、言葉づかい、とりわけ敬語には厳しい上司だったりしたら、これだけで逆鱗に触れることだって考えられます。
「ご苦労様」は上司が部下に対して、あるいは目上の者が目下の者に対して、使う言葉です。
上司をねぎらう言い方としては、
「お疲れ様でした(でございました)」
を使うべきです。自社を訪れた社外の人が帰るときにも 「お疲れ様でございました」を使います。
ただし、上司がプロジェクトの先頭に立ち、ともに困難を乗り切ったといったケースでは、実際に苦労を目の当たりにしているわけですから、
「部長、今回は本当にご苦労様でした」
という言い方をしても失礼に当たることはありません。上司も率直なねぎらい、いたわりの言葉と受け取るでしょう。
また、 「ご苦労様」がふさわしい場面も日常生活の中にはあります。例えば、宅配便が届いたとき。相手はサービス業者、こちらは顧客という立場ですから、ここでは「お疲れ様」より「ご苦労様」が的を射た言い方になります。
このように、 関係性による使い分けをしっかり頭に入れておけば、 迷うこともなく、顰蹙を買うこともありませんね。
【出典】『 頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
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公開日:2024.08.04