「やっても結構です」とは唖然
社会人としてある程度経験を積むと、責任ある仕事を任されることも多くなってきます。実績をつくり評価をあげるチャンスでもあるわけですが、敬語の使い方で台なしにしてしまうこともありそうですね。
「今度のキャンペーンの企画を君にやってもらおうと思うのだが、どうかな?」上司から打診がありました。力を認めてもらうチャンスです。もちろん、こたえは「Yes」ですが、言い方には注意です。
「はい、やっても結構です」
せっかくの抜擢に対する返答として、これはいけません。「結構」を承諾の意味での「いい」の丁寧な言い方として使っているわけですが、聞く側にはそうは聞こえません。「やってもいいけど・・・」。そんなニュアンスで受け取られてしまいます。
上司としては、「ほう、やっていただけるのかね。まあ、無理にお願いするつもりはないが・・・・・・」と皮肉の1つも言いたい心境でしょう。「結構」はその状態で十分だ、満足しているという意味ですから、打診に対しての返答に使うのは不適切です。
「はい、やらせていただきます」
「ぜひ、やらせてください」
などが上司を満足させる表現です。「結構」の使い方では、間違えやすいケースがまだあります。上司に頼まれたコピーを終えて手渡すときなどに、「これで結構ですか?」
なんて言っていませんか?この場合も「いい」を「結構」に言い換えているわけですが、まったく敬語になっていません。
「これでよろしいですか?(よろしいでしょうか?)」
とすべきですね。
「結構」が使えるのは、それに対する上司の対応のほうです。「結構だ。ありがとう」という具合。
「結構」はたしかに、すばらしいという意味で使う場合もあります。茶会などで「結構なお点前でございます」と言ったりするときがそれです。しかし、ビジネスシーンでは多用しないほうが無難でしょう。例えば、仕事相手に立派な仕事をしてもらったときなども「結構な仕事をしていただいて」より「すばらしい仕事をしていただいて」のほうが、ずっと感じがいいものです。
【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
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公開日:2024.08.24