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「フライボール革命」が生んだ大谷翔平のバッティングスタイルとは!?

Text:大利実

プロ野球“最新トレンド”とは?

「トラックマン」や「バレルゾーン」、「フライボール革命」といった言葉をご存じだろうか?近年、野球界ではMLBを中心に大きな変革が起きている。最新のテクノロジーを駆使して野球のプレーを数値化、データ化することで見えてきた“球界の最新トレンド”とは? メジャーリーガーやプロ野球選手などをサポートしている株式会社ネクストベース・アナリストの森本崚太さんに話を聞いた。

ゴロは守備シフトの網に長打狙いで角度を付ける

――今までは感覚や印象でしかわかっていなかった多くのことが、2014年以降は明確なデータでわかるようになったのですね。

森本 膨大なデータから打球方向の特徴も見えてくるようになりました。今のMLBは「定位置って何?」と思うぐらい極端な守備シフトを敷く球団が多いですが、スタットキャストの影響を大きく受けているのです。

――大谷翔平選手(エンゼルス)に対する守備シフトを見ると、三塁側には誰も守らずに、全体的に右側に寄っていますね。

森本 ゴロの打球の多くはシフトに引っかかってしまいます。結果として、シングルヒットが続く確率が低くなっているのです。そうなると、打球の角度を上げて、長打を狙ったほうがいい。4打席のうち3打席で三振をしても、1打席のホームランに価値がある。これも「フライボール革命」が浸透した、ひとつの背景と言えます。

――まさに大谷選手のバッティングスタイルですね。

森本 そういうことです。空振りオッケー、三振オッケーなのがMLBの考え方で、打球速度を高めようとするには強いスイングが絶対的に必要になります。大谷選手を見ているとわかることですが、ファーストストライクから強振していますよね。カウントが追い込まれるほど、バッターはいろんな球種・コースを待たなければいけなくなり、必然的に打率が下がっていく。「カウント別の打球速度」を見ると明らかで、2ストライク時よりも0ストライク時のほうが、打球が速いのがわかるはずです。


――非常に興味深いデータですね。

森本 MLBではバッターの能力を的確に評価する指標として、OPSが用いられるようになりました。出塁率+長打率で成り立ち、長打が多いバッターほど数字が高い傾向にあります。日本でもOPSが一般的に広まっていくと、バッターの評価方法がまた変わるのではと感じています。

【PROFILE】森本崚太(もりもと・りょうた)1992年10月18日生まれ、東京都出身。國學院久我山時代はエースとして活躍。現在は株式会社ネクストベースのトップアナリストとして、トラッキングデータをはじめとした野球データの解析を担当している。侍ジャパン社会人代表ほか、プロ・アマ問わず数多くの投手の球質測定やピッチデザインも行っている。8月27日には初の著書『野球データ革命』を出版した。

出典:『がっつり! プロ野球(29)』

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