プロ野球開幕から2か月弱。セはカープ、パはホークスと、昨年の日本シリーズを戦った2球団が首位を走っている。
カープは開幕当初こそ丸佳浩、新井貴浩が抜けた後遺症からか下位をさまよったが、打順を固定できるようになった5月は「16勝3敗1分け(5月25日時点)」と一気に首位へ駆けあがった。
一方のホークスは3・4月は月間首位。5月もほぼ5割ペースで故障者を抱えながらも首位をキープ。大崩れしない強さを維持している。
この2球団のように毎年、首位争いを繰り広げるチームは、1年だけ、もしくは一時期だけ強かったチームとどう違うのか。横浜・中日でそれぞれ日本一を経験した谷繁元信は著書の中で、こう述べている。
「(98年に日本一になったベイスターズでは)ポジション争いでも打順でも、選手が自然と「あいつに勝ちたい」と思えるような環境を作っていてくれていました。」
だが「無事に優勝し、日本一にもなって、二回のビールかけをやって優勝旅行も終わると、今度は何を目標にすればいいのかが分からなくなった」とも。その経験は中日で生きることになる。谷繁が移籍した中日で心掛けていたのは「勝ち続けるための目標設定」だという。
「同じメンバーで同じ目標を掲げて同じように挑んだら、また勝てるかというとそれは不可能です。現状を維持しようとするとレベルは必ず下がるからです。個々がレベルをもうワンランク、ツーランク上げていけるような目標を設定しないといけません。」結果、中日は04,06,10,11年はリーグ優勝、07年には日本一になっている。
常に向上しようという目標を設定していけるかどうかが、シーズンの最後に響いてくる。カープであればセ4連覇であり、1984年以来の日本一。ホークスであればシーズン優勝してからの日本一であろうか。
6月4日(火)からは交流戦も始まる。カープ、ホークスに限らず、各球団がどんな「目標」を設定して戦いに臨んでくるのか。それを想像しながら試合を見てみるのも、プロ野球観戦の醍醐味かもしれない。
「谷繁流キャッチャー思考」日本文芸社
https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b329472.html
公開日:2019.05.29
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ぎりぎりをしのぎ続けて一流選手へ