オリンピック競技になり、言葉の意味合いが変化
皆さんスポーツクライミングと聞くと、スピード・リード・ボルダリングの3種目をする競技のイメージが大きいのではないでしょうか?しかし、もともとスポーツクライミングといえば、岩場にボルトと呼ばれる穴のあいた金属フックが取り付けられている場所を、命綱のロープを使って登るスタイルをスポーツクライミングと呼んでいました。
クライミング競技がオリンピックに決まる時に、上記の3種目を合わせた総称の競技名をスポーツクライミングと決めたことで、私たちの中でも言葉の意味合いが大きく変わってしまった気がします。また、本来は「sport climbing」つまり、スポートクライミングと英語では書きますが、日本人には馴染みがないのでスポーツクライミングと呼ぶことになりました。
フリークライミングとは?
フリークライミングとは、縄梯子などの補助道具を利用するエイドクライミングと対極の、素手で登るクライミングスタイルのことを言います。人工壁も岩場もすべてフリークライミングです。「フリー」とはフリーランスのフリー(自由)ではなく、シュガーフリー(砂糖ゼロ)などと同じく、「○○なし」つまり、補助道具なしという意味でフリークライミングと呼んでいます。
私は今まで、人工壁も岩場もリードもボルダリングもすべてやるけど、補助道具を使うエイドクライマーではありません、素手で登るフリークライマーですよ、という意味で、「プロフリークライマー」と名乗っていました。
言葉は時代によって変化する
スポーツクライミングがオリンピックの競技名になったことにより、世の中の人たちが私たちの言葉に寄り添っていくだけではなく、私たちも世の中の認識とともに変化していく必要もあると実感しています。
啓蒙する立場になって思うことは、よりシンプルなほうがみなさんに伝わるし浸透していくのではないかと思っています。というわけでプロフリークライマー改め、プロクライマー尾川をこれからもよろしくお願いします!