巨人軍は育成制度をうまく使いこなせているのか?
日本一から10年以上も遠ざかる“球界の盟主”巨人。若手育成を疎かにしてきたツケが低迷の要因と言われているが……実際のところはどうだろうか?
近年の巨人の優勝には育成選手が影のキーマンに
育成選手で最初に注目されたのは山口鉄也だろう。入団2年目の2007年に支配下登録されるといきなり32試合に登板し、翌年には新人王を獲得。それ以降は中継ぎエースとして毎年60試合以上に登板する大車輪の活躍。現役12年で273ホールド、最優秀中継ぎのタイトルを3度獲得し、侍ジャパンにも名を連ねるなど、第2次原政権を支えた。
山口が新人王を獲得した翌年には松本哲也が俊足を武器に台頭し、新人王を獲得。2年連続で育成選手から新人王を輩出した巨人はいつしか「育成の巨人」と称されるようになった。同じ年にはオビスポが先発ローテ入りして6勝を挙げるなど、主力選手たちに隠れて、育成出身の選手たちが裏でこの年の日本一を支えたと言っても過言ではないだろう。
しかし「育成の巨人」はこの年からたった2年で崩壊することになる。その原因となったのは清武英利の人事異動、いわゆる清武の乱である。
2011年オフに勃発したこの事件で清武は球団社長を解任され、チームを去った。育成選手制度導入のキーパーソンであった男の退団はその後の巨人の育成選手の活用に少なからず影響したのか、12年以降に支配下登録された育成選手で目覚ましい活躍を見せた選手は皆無。いつしか巨人は再びFAやトレードによる選手補強に熱心になっていった。
出典:『がっつり! プロ野球(32)』
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公開日:2022.11.29