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史上初の卓球プロリーグ「Tリーグ」開幕!

Text:飯塚さき

スポーツ記者・飯塚さきの
スポーツ ここが知りたい!―It’s All About Sports!― 第1回

この連載では、日々スポーツの現場を飛び回るフリー記者・飯塚さきが、あらゆる人や企業、大会、イベントなどを取材し、その魅力をお届けします。記念すべき第1回は、史上初の卓球プロリーグ「Tリーグ」の開幕戦を徹底リポート。そもそもTリーグって何? どんな選手が出ているの? 卓球の魅力とともに、10月24日に行われた男子開幕戦の様子をご紹介しましょう。

地域密着型のTリーグ 有名選手も多数参加!

2018年10月24日。東京都墨田区・両国国技館を舞台に、1つの歴史が刻まれました。着想から約10年。史上初の卓球プロリーグ「Tリーグ」が、ついに開幕したのです。このリーグには、世界トップレベルの選手を擁するチームから、趣味でプレーする地域のチームまでが、各カテゴリに分かれて存在しています。今後は、プロとアマを分けない、卓球界独自の地域密着型チームによる新リーグを目指していくそうです。

そんなTリーグのトップチームは、男女それぞれ4チームずつ、合計8チームで成っています。選手の数は、各チーム6名以上。10月から翌3月までのシーズン制で大会が行われます。男子は、リオデジャネイロ・オリンピックで活躍した水谷隼選手や、15歳の全日本チャンピオンの張本智和選手(共に木下マイスター東京)、海外のプロリーグでも実力を上げてきた吉村真晴選手(T.T彩たま)などが参戦。一方女子は、日本の大黒柱である石川佳純選手(木下アビエル神奈川)、昨年の世界選手権で銅メダルを獲得した平野美宇選手(日本生命レッドエルフ)など、そうそうたるメンバーが名を連ねています。

開幕を前日に控えた記者会見では、各チームの代表選手と監督が登壇。個人競技では珍しく、各選手に背番号がつけられています。選手たちはそれぞれ自分の好きな番号を選び、その理由について、「覚えやすいと思ったから」(水谷選手/0番)、「今の年齢にしました」(琉球アスティーダ・小沢吉大選手/24番)「今、4階に住んでいるから(笑)」(木下アビエル神奈川・浜本由惟選手/4番)など、個性豊かな理由を語っていました。

ついに開幕! 勝負の行方は…?

開幕当日。全国から5624人のファンが両国国技館に詰めかけました。大相撲の聖地であり、和の装いが美しい国技館ですが、この日ばかりは普段と違う顔を見せていました。土俵中央には巨大なオブジェが据えられ、その上に4面の巨大スクリーンが客席を見下ろしています。


試合開始30分前には、盛大なオープニングセレモニーが行われました。生のオーケストラ演奏をバックに、男女8チームから代表選手が登場すると、会場のボルテージは急上昇! 松下浩二チェアマンの開幕宣言とともに、中央に突如1台の卓球台が現れました。いよいよ、戦いの火ぶたが切って落とされます。


この日の試合は、水谷・張本両エース率いる木下マイスター東京と、真晴選手率いるT.T彩たまの対戦です。Tリーグの公式戦は、3シングルスと1ダブルスの4マッチ。3マッチとったチームの勝ちとなります。第4マッチ終了時にマッチカウントが2-2の場合、最後にビクトリーマッチが行われます。またTリーグでは、第3マッチ終了時に3-0であっても、第4マッチを必ず実施するため、出場選手の試合をすべて観戦することができるのも魅力です。

シングルスは11点先取の5ゲームマッチ。一方、ダブルスは3ゲームマッチです。記念すべき開幕第1マッチとなったダブルスは、T.T彩たまから鄭 栄植(チョン・ヨンシク)・平野友樹ペア、木下マイスター東京から水谷・松平健太ペアが出場。「ラブオール」のコールで試合が始まると、会場のあちこちから大きな声援が飛びました。

両者譲らぬ展開。高速ラリーが続く場面では、会場からどよめきが起こります。1点勝ち取るごとに、ベンチで見守る監督とチームメートは立ち上がって拍手。名前を呼んでうちわを叩く人、子どもたちの「頑張れー!」という可愛らしい声。会場全体が一体となって、選手たちを鼓舞します。


結果、2ゲーム目はジュースにまでもつれ込むも、ダブルスは2-0で水谷・松平ペアのストレート勝ち。続く第2マッチは、彩たまのエース・真晴選手と、ライバルである木下マイスターの大島祐哉選手が対戦し、3-1で大島選手が勝利しました。序盤の2点を自身のサーブミスで落としてしまった真晴選手。「Tリーグの初戦とあって、緊張してしまいました」と振り返りましたが、「それでも、今までにない高揚感を覚え、とても楽しく試合ができました。これから僕たちの素晴らしいパフォーマンスで、もっと多くの人に卓球を知ってもらえるよう努力していきたいと思います」と、最後は前を向きました。

第3マッチは、木下マイスターから注目の15歳・張本選手が登場。T.T彩たまの黄 鎮廷(ウォン・チュンティン)選手と対戦するも、3-0で張本選手が圧倒しました。「試合中は疲れもなく、大事なところでいいプレーができました。これからも勝利を重ねて、応援してくださる皆さんに恩返ししたいと思います」と、晴れ晴れとした様子でした。


ここで、3マッチを制した木下マイスター東京の勝ちが決まりましたが、Tリーグのルール通り、第4マッチまで実施します。最後は、両者ダブルスにも出場した、鄭選手と水谷選手の対戦。1ゲーム目は水谷選手が先取しましたが、続く2ゲーム目・3ゲーム目を鄭選手が奪って逆転。4ゲーム目、序盤は鄭選手の流れでしたが、徐々に水谷選手が追い上げ、最後は連続得点で水谷選手のゲームに。この日初めて、5ゲーム目にまでもつれ込みました。


Tリーグのルールでは、最終ゲームは6-6から始まります。水谷選手が順調な滑り出しでマッチポイントを奪いますが、鄭選手も意地を見せ、ジュース(10-10)に。会場は、この日一番の盛り上がりです。最後は、13-11でT.T彩たまの鄭選手が勝利。チームは1-3で負けたものの、勝ち点がつくため、価値のある1勝だったといえます。

ダブルス・シングルスの両方に出場した水谷選手は、「最後は負けてしまったけれど、観客の皆さんに喜んでもらえたのでよかったです。本当に多くの方に足を運んでいただき、いよいよここから始まるのだと感慨深い気持ちになって、オープニングセレモニーでは泣きそうでした。Tリーグの盛り上がりを肌で感じることができたので、最高のパフォーマンスを発揮し、全勝で優勝することを目標に戦っていきます」と、その胸中を語りました。

こうして、Tリーグの初戦は大盛況に終わりました。今後、来年3月に行われるTリーグファイナルまで、全国各地で試合が行われる予定です。トップ選手たちの織り成す技の数々を、目の前で、そして多くの人と盛り上がりながら見られるチャンスです! 皆さんもぜひ、会場に足を運んでみてください。


★Tリーグや試合の詳細は、下記ホームページまで
https://tleague.jp/

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