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Tリーグ「T.T彩たま」坂本竜介監督インタビュー

Text:飯塚さき

スポーツ記者・飯塚さきの
スポーツ ここが知りたい!―It’s All About Sports!― 第2回

この連載では、日々スポーツの現場を飛び回るフリー記者・飯塚さきが、あらゆる人や企業、大会、イベントなどを取材し、その魅力をお届けします。卓球プロリーグ「Tリーグ」開幕戦リポートに続く第2回は、同じくTリーグから、T.T彩たまの坂本竜介監督に突撃インタビュー。現在の活動やリーグへの思い、今後の展望について伺いました。

高まる卓球人気
「する」卓球から「見る」卓球へ

――先月、ついにTリーグが開幕しました。開幕戦の演出などはいかがでしたか。
坂本 あれは成功だったと言っていいと思います。オープニングセレモニーでは、オーケストラに来てもらい、選手を目立たせたことがとてもよかった。会場も盛り上がっていました。

――私もとっても楽しかったです! Tリーグ開幕によって、ますます卓球人気が高まっていますが、日本において、ここまで多くの人に支持されてきた理由はどこにあるのでしょうか。
坂本 単純にいえば、福原愛さんの存在が大きいでしょう。私も4年間、彼女と混合ダブルスで組んでいたので、その人気と実力の高さはよく認識しています。愛ちゃんありきの日本卓球界だと言っても過言ではありません。開幕戦の直前に引退を表明しましたが、今後も卓球界を引っ張っていってくれることと思います。
また、いかなるスポーツにおいても、人気が出るためには「強い」ことが第一条件です。今の卓球日本代表はメダル常連国となっており、日本人選手が大会の決勝まで残ることで、多くの人に注目してもらえています。
若い選手たちの台頭も、人気の要因のひとつに挙げられます。愛ちゃんにあこがれて、石川佳純選手や伊藤美誠選手といった、第二・第三の「天才少女」たちが出てきました。それにとどまらず、リオ・オリンピックでは水谷隼選手がメダルを取ったことで、男女ともに人気が上がりました。その時点でようやく、卓球界全体の人気が高まったと認識しています。

――さまざまなターニングポイントがあり、代表選手たちが強くなってきたことに、人気の理由があるのですね。全国には、老若男女問わず幅広い卓球ファンがいると聞きます。
坂本 基本的には誰でもできるスポーツで、多くの人が学校の授業や温泉などでやったことがあるため、広く認知されているのかもしれませんね。

――多くのファンを獲得したなかで、2020年を前にTリーグが開幕しました。
坂本 私はこれでも遅いくらいだと思っています。リーグ運営自体だけでなく、プロモーションの仕方やイベント運営に関しても、まだまだ課題が散見されるのです。不満を抱くことも多いので、よりよい方向に向かっていけるよう、チームのことだけでなくリーグにもいろいろ意見するようにしています。選手たちのパフォーマンスを上げるために、集客を上げるために、まだまだやるべきことがたくさんあるのです。

――これからは、卓球を「見る」ことの普及も重要になってきそうですね。
坂本 「する」卓球から「見る」卓球への変換は、今後の大きな課題のひとつです。現状、観戦する際はどこに着目したらよいかが難しいので、わかりやすさの提供が求められています。会場ではラジオ解説をつける、テレビではボールの回転数や初速などを視覚的に見せるなど、選手たちのパフォーマンスがわかると、より面白くなるでしょう。卓球未経験者でも、男子であれば距離をとった大きなラリー、女子であれば台についたスピードなどに注目すると、面白いものです。多くの人が映画館や野球観戦に行くように、今後は卓球場にも足を運んでもらえるようにしていきたいと考えています。

開幕戦。鄭 栄植(チョン・ヨンシク)・平野友樹ペア

T.T彩たまの強みは
チーム力の高さ

――T.T彩たまのチーム運営はどのような体制ですか。
坂本 運営には15名のスタッフが携わっています。社長を含め卓球経験者が多いことが特徴です。選手たちのグッズを売るだけでなく、応援歌を作ってダンサーを入れ、ファンクラブや年間パスポートをつくるなど、プロチームとしてのプロモーション活動には余念がありません。リーグ全体を盛り上げるためにも、ほかのチームにも同じくらいPR活動に力を入れてほしいと思っているところです。

――チームでの練習はどのように行っているのですか。
坂本 全員で集まっての練習は、実はほとんどできません。個々に遠征や合宿があるだけでなく、うちは外国人選手も多いため、余計に難しいのです。そんななかでも、開幕前は2回合宿を行い、朝から晩まで、生活も共にして過ごしました。外国人選手たちは、私が英語を話すので、私の通訳を介していることもありますが、日本語を一生懸命勉強しています。こうした個々のコミュニケーション努力があるからこそ、ほかのチームよりも選手同士の仲がよく、結束力の強さは負けないと思っています。

――個人競技ですが、チーム力も欠かせませんね。
坂本 我々のいう「チーム」は、選手だけでなく、スタッフを全員含めたチームです。選手が戦えているのは、スタッフが支えているからであり、やってもらって当たり前なのではありません。逆に、選手たちが謙虚な姿勢で感謝の意を述べてくれていたら、運営側もより頑張れます。私は運営側であり現場の監督でもあるので、選手たちへの意識付けを含め、両者の懸け橋として動くよう心がけています。

――では最後に、今季の目標をお聞かせください。
坂本 もちろん優勝です。試合成績に加え、プロモーション力や団結力でも優勝を目指したいと思っています。


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