スーパースターの少年時代
あの怪物選手の子どものころの逸話を大公開!
野球に詳しくないような人でも名前くらいは知っている……。そんな“超有名”プロ野球選手の少年時代のエピソード!
2020年5月、宝島社から『あのプロ野球選手の少年時代』という本を出版した。「名は体を表す」というが、その内容はタイトルそのままだ。侍ジャパンやメジャーリーグでも活躍する「超一流」のプロ野球選手たちは小学生、中学生だった頃、どんな子どもで、どんな野球選手だったのか……。本人や当時の指導者に話を聞くと、想像とはちょっとだけ違った姿が浮き彫りになった。
中学、高校で才能を開花させた菅野智之
菅野智之(読売ジャイアンツ)
ケガによる不調から一転、今季は開幕から連勝街道を驀進。自身3度目の沢村賞も間違いなしという投球を見せている巨人のエース・菅野智之は、幼少期から「原貢の孫、原辰徳の甥」という普通の野球少年とは少し違った環境で過ごした。ただ、小学校入学と同時に入団した東林ファルコンズは、地域の子どもたちが通う「普通の少年野球チーム」。子どものころからエリート街道まっしぐらかと思いきや、その野球人生のスタートは普通の野球少年と変わらないものだった。菅野少年の出身地、神奈川県相模原市は少年野球も盛んで、いわゆる公式戦とは別に子どもたちの成長を意識した「教育リーグ」なるものが存在する。
勝敗ではなく、選手個々の野球技術に特化した試合形式で、菅野少年もその教育リーグで1年生から登板。そこから20年以上、投手一筋で野球人生を送っている。6年生になる頃には体も大きくなり、球速も100キロ超え。チームでは堂々たるエースとなったが、その一方で「かなり不器用な選手」でもあった。当時、菅野少年を指導した松井昭治さん、河野欣行さんは「今の姿からは想像もできませんが、正直言ってコントロールはアバウト。体も硬くて、中学、高校と進んだら苦労するんじゃないかな、と不安な思いもありました」と語る。当時の菅野少年はその血筋もあってか、体は大きく、馬力もあった。シンプルに能力が高いのでボールは速かったが、それを制御しきれてるとは言えなかったという。
「少年野球では成長が速くてボールの速い子がどうしても目立ちます。でも、そういう子が周りに身長で追いつかれていくと、埋もれてしまうケースも決して少なくはない」ただ、少年時代の指導者たちのそんな心配は、結果として杞憂に終わる。菅野少年は中学、高校と順調に成長。東海大相模卒業時には「プロ候補」と呼ばれるまでになり、東海大進学後は「大学ナンバーワン投手」にまで成長を遂げた。その後の活躍はご存知の通り。松井さんも河野さんも、その成長ぶりについては口を揃えてこう語ってくれた。「私たちは、何もしていません。小学校の頃はとにかく楽しく野球をやらせて、その後の成長はトモの努力。中学、高校時代の投球を見たときは、体も柔らかくなっていて、その変化に驚きました。ただ、表情や仕草は今も変わらないので、テレビでトモが投げているのを見ると少し不思議な感覚になりますね(笑)」
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公開日:2021.01.03