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球団新記録となる161kmを計測した阪神の絶対的守護神!ロベルト・スアレス

Text:橋本雅生

助っ人外国人列伝/阪神投手編

日本球界を彩ってきた助っ人外国人選手たち。「ラブすぽ」が独自に選んだ投打の名選手各5名と、印象深い選手を投打から各1名紹介する。

開幕直後から12戦連続0封と安定感抜群の投球披露した!呉昇桓

【投手4位】ロベルト・スアレス

〈NPB通算データベース〉
・勝利 7勝
・敗戦 13敗
・ホールド 37
・セーブ 68
・防御率 2.81

メキシコスタートの叩き上げでプロへ

日本ではソフトバンクと阪神でプレーし、2020年から虎の絶対的守護神として活躍したロベルト・スアレス。

ベネズエラ出身のスアレスは、兄でヤクルトの助っ人外国人としてプレーしたアルバート・スアレスと野球に興じ、メジャーの道が拓けるMLBアカデミーに入るべく練習を積んでいた。

兄のアルバートはアカデミーからレイズとの契約に至ったが、弟は現在ほどストレートが速くはなく、目立つ選手ではなかったという。目標としていたアカデミーに入ることができなかった。

貧富の差が激しいベネズエラでは、アカデミーに入る以外、野球を続ける術はない。そのためスアレスは建築現場の作業員やタクシーの運転手で働く。

しかし、プロ野球選手の夢を諦めきれずメキシコに渡り、仕事をしながらアマチュアリーグでプレーし、ほどなくしてメキシカンリーグ・サルティーヨに入団。その頃のスアレスはストレートの球速がどんどん上がり、160キロ強の剛速球を武器に高成績を収めたことで注目が集まる。

そして、2015年にソフトバンクと年俸5000万円で契約。メキシコ時代に比べると10倍以上の年俸を手にしてジャパニーズドリームを実現した。

クローザーに再転向で大ブレイク

開幕前はコントロールが不安視されたスアレスだったが、ソフトバンクでの1年目はセットアッパーとして登板し、クローザーのデニス・サファテとのコンビで大躍進する。

58試合に登板して26ホールド、防御率3.19と日本でも通用することを証明し、クライマックスシリーズでは球団新記録となる161キロを記録している。

しかし、翌年に受けたトミー・ジョン手術の影響と先発転向が失敗して2019年に自由契約となり、次のシーズンは縦じまのユニフォームでプレイすることになった。

強い希望もあって阪神では中継ぎ起用となったが、やはりスアレスは先発向きではなかったようで、開幕直後から水を得た魚のように快投を連発する。

長いイニングを投げない中継ぎは、スタミナをさほど考えず全力投球することができる。そのためスアレスはストレートの平均球速が150キロ代後半で最速163キロの速球を軸に、同等のスピードで大きく沈む高速シンカーを決め球に打者を次々に打ち取るようになったのである。

また、阪神でのスアレスは、四球のリスクを避けるために積極的にストライク先行の投球を意識するようになったことも特徴だろう。圧倒的な球威のストレートとシンカーを駆使して早いカウントで追い込む支配的な投球を可能にしたのだ。

2019年の7月からは藤川球児に代わってクローザーに定着すると最終的に25セーブを記録。最多セーブのタイトルを獲得して大復活を遂げている。

遂にはメジャーに移籍してアメリカンドリームを実現

2020年のシーズンもスアレスの圧倒的な投球は冴えに冴え渡る。5月に自己最長の13イニング連続無失点、6月は球団記録となる12試合連続セーブを達成を記録し、62試合の登板で2年連続セーブ王の42セーブ、防御率1.16と圧巻のシーズンを送った。
 去就が注目されたスアレスは、2020年にダルビッシュ有のいるパドレスと5年4600万ドルの大型契約を結ぶ。一度はプロの道を諦めた男が遂にアメリカンドリームを実現したのだ。

パドレスでの初登板では3者連続四死球を与えて降板して不安視されたが、11ホールド、防御率2.27の成績でチームのワイルドカード進出に貢献。

2023年は開幕前に右肘の故障で負傷者リスト入り。大きく出遅れて7月に復帰後、セットアッパーとして出場していたが、8月に出場した試合の異物検査で違反が発覚して10試合の出場停止を食らってしまった。来季は万全の状態でのパフォーマンスを期待したい。

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