サヨナラ負けから立て直ったカイル・ケラー
5月27日に鳴尾浜球場で行われたウエスタン・リーグの中日ドラゴンズ戦に、阪神タイガース6番手としてマウンドに上がったカイル・ケラーは、1回を21球で、2安打無失点。入団6年目でプロの公式戦初の完封を記録し、1軍昇格へアピールした。
9回、阪神タイガース5番手の岡留英貴に代わり、6番手でマウンドに上がったケラーは、先頭打者の大野奨太にライトへのヒットを許し、続く土田龍空に送りバントを成功され、1アウト2塁のピンチを背負う。
さらに、三好大倫に痛烈な投手への内野安打を放たれ、1アウト1、2塁とチャンスを広げられるも、伊藤康祐を4球目127キロのカーブでセンターフライ、渡辺勝を7球目126キロのカーブでファーストゴロに抑え、無失点で切り抜けた。
2軍で原則1イニング限定のリリーフを務め、13試合連続無失点の好投を続けていたケラーは、20日のオリックスバファローズ戦で自滅の暴投によるサヨナラ負けを喫していたが、そこから立て直し、24日の広島カープ戦で2者連続の空振り三振で三者凡退に抑え、平田監督からこれだったら1軍でも十分いけると太鼓判を押されていた。
1軍では、27日の千葉ロッテマリーンズ戦で、緊迫する1点差ゲームを守り抜き、8セーブ目を挙げた岩崎優だが、17日のヤクルトスワローズ戦では1点差を守れず逆転サヨナラ負け。21日の巨人戦では3安打を浴びて1点差に詰め寄られる逃げ切りと、阪神タイガース打線が多くの点をなかなか取ることができず、守護神を務める岩崎優に大きな負担が掛かっている。
新球フォークを試すなど、日本球界で成功するため努力を重ねるケラーに対し、高評価を与えている平田監督の太鼓判を聞き入れる矢野監督も、岩崎優の負担軽減へ1軍昇格に意欲を示しているはずだ。
日本の環境に慣れてきて、球速も上がり始め、新しい球種にもトライするケラーは、開幕戦で多投し、打ち込まれたカーブに頼らなくて良い投手へと変貌を遂げつつある。
アルカンタラ、湯浅京己、岩崎優の勝利の方程式に、ケラーが加わり、より強固な阪神タイガースリリーフ陣を形成し、交流戦優勝を勝ち取ってもらいたい。
公開日:2022.05.28