V逸の阪神と優勝のヤクルトの明暗を分けた2つの数字
10月26日に横浜スタジアムで行われたDeNAベイスターズとの一戦に勝利したヤクルトスワローズが6年ぶりのリーグ優勝を果たした。
リーグ前半戦から破竹の勢いで勝利を重ねた阪神タイガースだったが、リーグ後半戦からその勢いは滞り、ヤクルトスワローズに追い抜かれ、くしくも16年ぶりのリーグ優勝を逃した。
阪神タイガースのV逸の要因として、まず考えられるのが、今シーズン幾度となく指摘されてきた失策の多さだ。
今シーズンの阪神タイガースの失策数は、両リーグワーストを更新する86失策となり、確かに多いが、ヤクルトスワローズを見てみると、今シーズン残り2試合を残して、78失策で広島カープと並び、セ・リーグ4位タイと最もセ・リーグで失策数が少ない巨人の45失策と比較すれば、ヤクルトスワローズも阪神タイガースと変わらないくらいエラーを記録していた。
では、ヤクルトスワローズと阪神タイガースは、どこで差がついたのか。
打撃成績と投手成績の数字を見ると、2つの数字に目が行く。
打撃成績については、打点数だ。
ヤクルトスワローズが、セ・リーグ1位の597打点稼いでいるのに対し、阪神タイガースはセ・リーグ4位の517打点と80打点の差がついていることがわかる。
これは、リーグ後半戦において、阪神タイガースが得点圏で1本が出ず、敗戦する試合が目立ったことでついた差と考えられる。
そして、投手成績については、ホールド数だ。
ヤクルトスワローズが、セ・リーグ1位の149ホールドに対し、阪神タイガースはセ・リーグ5位の92ホールドと50ホールド以上の差がついている。
これは40ホールドでセ・リーグホールド数2位の岩崎優一人に試合終盤の負担を背負わせた阪神タイガースに対し、ヤクルトスワローズは、50ホールドでセ・リーグホールド数トップの清水昇と28ホールドでセ・リーグ5位に今野龍太の台頭で守護神へ繋ぐまでの負担を分散させられたことが大きいと思われる。
従って、ヤクルトスワローズが優勝できた要因は、少ない点差で試合が運んだ時も後ろに失点しない中継ぎ陣を複数配備し、得点圏でしっかりと点を奪い、勝ち切るまたは引分けに持ち込むことのできた試合が阪神タイガースよりも多かったことが挙げられるのではないだろうか。
リーグ優勝はヤクルトスワローズがかっさらったが、短期決戦のクライマックスシリーズでは、阪神タイガースは失策を恐れず、積極的なプレーで守備から攻撃のリズムを生み出し、得点圏でしっかりと得点を奪える好循環を生み出すことができれば、逆転日本シリーズ進出もありえるかもしれない。
公開日:2021.10.27