9時から4時の小さなスイングでクラブの入れ替え運動を覚える
動作を理解したら後は実践です。9時から4時の小さなスイングでボールを打つことによって、入れ替え運動を覚えます。
グリップが腰の高さ、つまり時計の文字盤でいう9時の位置から振り下ろすのですが、このとき手首の角度をしっかりと作り、それをほどきながらのインパクト。その後は左肩甲骨の引き上げ運動を入れながら、4時の位置で止めます。
使用するクラブはショートアイアン。1つ1つの動作を確認しながら、ゆっくりした速度で振りましょう。クラブヘッドの重みを感じながら、インパクトの直前で手首の角度がほどけることと、引き上げ運動を感じながらポン! とボールを打ってください。それができた段階で徐々に速度を上げて行きます。
実際にやってみるとわかると思いますが、ダウンスイングにおける上から下への運動は、重力の落下を利用できるため比較的やりやすいんです。
ところが、フォロースルーにおける引き上げ運動には、物凄いストレスがかかるんですね。それに対応するために左手にはグローブをつけるわけです。またグリップのエンド側のほうが太くなっているのは、左手でより強い力で握れるようになっているのです。
正しいスイングをすれば、左手により負担がかかるのであり、グローブとグリップによって、その負担を軽減させているということを頭に入れておいてください。ということは、右手でボールをぶっ叩いてフォローでヒジが引
けているようなオジサンは、左手にグローブをはめる必要はまったくないわけです。
右手でぶっ叩くゴルファーは思いのほか多く、2つの大きな特徴があります。1つは正面から映像を撮るとフィニッシュで画面からいなくなってしまうことです。打った後、飛球線後方に後ずさりするからですね。これはなぜかというと、右手で外からクラブを引っ張り込んでくるものですから、そのまま立っているとクラブが自分にぶつかってしまうからです。アタックしてくるクラブを後ずさりすることで避けているんですよ。
私は練習場に10年ぐらい勤めていましたけれど、お客さんの左斜め前に立ってレッスンしていると、その後ろの打席にいる一般の人たちが見えるんです。
面白いのは打った瞬間、視界から消える人がけっこういるんですね。笑い話のようですがこれは本当で、こういう打法でプレーし続けるベテランゴルファーは少なくないんです。
こういう人たちには、もう1つ特徴があると言いましたがそれは、打った後に右手1本でクラブを持つことなんです。右手の位置は肩の高さぐらいが多いですね。右手でクラブを立てながら持ってボールの行方を追っているんです。非常に男らしい姿勢なんですが、ゴルフに関しては下手だということがすぐにバレてしまいます。こういうオジサンは非常に多いですから、今度練習場に行ったら注意深く観察してください。
また自分がそうだという場合は、すべてを右手で処理しようとしている証拠ですから、上達したいのならスイングの動作を根本的に見直す必要があります。
話が横道にそれてしまいましたが、要するに道具の形状および、道具を使用すること自体に意味があり、かつ必然性があるということですね。そういうことも踏まえると、上達にとって不可欠なインパクト付近における、クラブの上下および左右の入れ替え運動がより理解できるのではないかと思います。ここができないことには先がありませんので、必ずマスターしていただきたいポイントです。
【書誌情報】
『100を切れない7つの理由・10の上達法 劇的に上手くなるスイングの作り方』
著者:阿河徹
なかなか上手くならないアマチュアゴルファーのスイングには、致命的な欠陥がある。そこで本書では、アマチュアのスイングの悪いクセを7つを解説。さらに、著者が「スイングの設計図」と呼ぶ、正しいスイングの動きをイラストでわかりやすく紹介する。そして、その基本の動きが身につき、上達に役立つ10のスイング・ドリルも公開する。スイングに悩んでいる人をはじめ、これからスイングを学ぶ人、基本を再度見直したい人も活用できる一冊である。
公開日:2021.08.31