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スイングの再現性を高め効率的に飛距離を出す左ヒジの使い方とは!?【「9時・4時スイング」でゴルフはすべて上手くいく/阿河徹】

Text:阿河徹

スイング中の左ヒジの動きは?
コンパクトなスイングは左ヒジがつくる

スイング中に左ヒジはどう動くかというと、基本的には伸びています。まっすぐ引く初期動作の後、リストコックが入ってきますが、左腕が地面と水平な位置まで上がったポジションのときにリストコックはほぼ完了します。遅くともこのときまでに左ヒジが確実に伸びていることが必要で、その理由は左ヒジを曲げると左肩が緩んでしまうからです。左肩が緩むと左右の肩の入れ替え動作をすることができず、飛距離的にかなり損をすることになりますし、スイングの再現性も低くなります。

左ヒジが伸びていると左の肩甲骨が前に出てきますが、これが大事です。左の肩甲骨が前にスライドすることによって、右の肩甲骨が後ろに下がるチャンスが出てきます。そうすれば右の胸を開くという動作や、右腕を外旋させて右ヒジを下に向けるという動作もやりやすくなります。

左ヒジを伸ばした状態でバックスイングをすると、左腕をそれほど上げることができません。一般的な40代、50代の男性でせいぜい10時の位置ぐらいまででしょう。もちろん左ヒジを曲げればどこまででも上げることができますが、これは意味がありません。オーバースイングの人は間違いなく左ヒジが緩んでいると言えますね。

左ヒジを伸ばしておくと、トップオブスイングで体とグリップに空間ができますが、左ヒジを曲げてしまうとその空間が作れず、いわゆる「つぶれたトップ」の状態になります。

インパクトで左の肩甲骨は引き上がることによって、ブレーキングが生じヘッドが走ると言いましたが、それはバックスイングで肩甲骨が前にスライドしていることが条件になります。前にせり出していればいるほど、後ろにぐっと引き上げるときの可動域が増えるので、スピードを上げることができます。

このインパクトの動作は極めて重要で、左肩を引き上げると同時にグリップエンドの引き上げ動作を行っているのですが、この上げ幅が大きいということは、可能性として直前のヘッドの位置を高くとれるということです。手首の角度が大きい、いわゆるタマっている状態から一気にクラブヘッドを下げることができるので、このスピードを飛距離につなげることができるわけです。

よくプロやインストラクターが、左肩からクラブヘッドまでを1本のクラブと考えなさい、というようなことを言いますが、これは左ヒジを曲げないということが前提で、まっすぐ使うことにより、実質長尺クラブで打つようなスピードアップが可能になります。

最初に言いましたように、左ヒジはスイング中伸びたままなので、動きとしてはそれをキープするということになります。アドレスで多少の緩みがあったとしても、左腕が地面と水平な位置まで上がったときには伸びていて、ダウンスイングでも伸びたままです。伸びているからこそ、トップで左肩甲骨が前にスライドし、インパクト付近で引き上げることでグリップも引き上げられ、クラブヘッドが加速します。もし左ヒジが曲がってしまうと、左肩の引き上げとグリップの引き上げが連動しないので、ここはしっかりと伸びている状態をキープしてください。

球をとらえた後も左ヒジは伸び続け、クラブが4時のポジションまで来たときに重要な役割としては完了です。そこからクラブヘッドが跳ね上がって、シャフトが立つという現象が起こりますが、それと同時に左ヒジは曲がり始めます。グリップが肩の高さあたりに来るまで左脇は締まっていますが、そこからは緩めることで左胸を開きます。このとき左の肩甲骨は限界まで背骨のほうに寄っていき、それと入れ替わるように右肩甲骨を前に持っていきます。フィニッシュで左ヒジの角度は90度、左手の親指にクラブが乗ってスイングが完了します。

もちろんお年寄りには左ヒジを曲げるなと言っても無理ですし、まっすぐだと腕が9時の位置までも上がらないようなら、妥協案として左ヒジを曲げることを容認することはあります。ただしこれはあくまでも妥協案で、基本は何かと問われたら、左ヒジは伸ばしておくということになります。またジョーダン・スピースやリー・ウエストウッド、藤本佳則など、フォロースルーで左ヒジが曲がる選手がいますが、彼らのスイングはインパクトまでに腕とクラブのためた角度があり、左ヒジが曲がったとしても左の肩甲骨を引き上げる動作が行われています。

ただグリップエンドの引き上げ動作の距離は若干短くなりますから、左サイドのストッパーの役割が少し減ります。そのためクラブヘッドが限界まで走るという現象は起こらないことは理解しておいてください。こういう選手はラインの出し方がめっぽう上手く、限界まで飛ばすことよりも方向性を優先しているとも言えます。

【書誌情報】
『「9時・4時スイング」でゴルフはすべて上手くいく』
著者:阿河徹

「9時・4時スイング」とは、時計の9時の位置から4時の位置まで動くスイングのこと。この範囲のクラブと体の動きが、ゴルフ上達のポイントであると著者は考えている。本書は、そのスイングをする際の体の動き、クラブの動きを写真を数多く使い細部にいたるまでわかりやすく解説。加えて、スイング中の体の動きが身につく練習ドリルも紹介している。「9時・4時スイング」でゴルフは劇的に変わる!