「右胸を開く」という重要な動作
ダウンスイングにおける右上半身の使い方を説明しましたが、ここで注目してほしいのは「右胸を開く」という動作で、ここが本当の上級者への仲間入りができるかどうかの鍵を握っていると言っても過言ではありません。
私のもとに自己流でスイングを覚えた上級者の方がたまに来るのですが、バックスイングでクラブを担いでしまっているパターンが多いんです。そこからクラブを下ろすのは上手なんですが、右胸が開いていないので技術に限界が来てしまうんです。
そもそも、スイングプレーンの原理を知っていれば、トップオブスイングがそのポジションで固まらなかったのでしょうが、知らなかったがゆえに、やりやすい場所にトップが決まってしまったんですね。残念ですが、ハンデ6、7まではくるのですが、肩が入っていないから2、3の選手に負けてしまうんです。
もしもスイングプレーンの原理を知っていれば、右サイドのポジションは自ずと決まってくるんです。右肩が開いた状態でクラブがプレーンに沿って上がっていく、そのどこかにトップオブスイングがあるのですが、それは左サイドの可動域がどれぐらいあるかで決まってきます。
左の肩甲骨が動いて左腕を高く上げることができれば、大きなトップオブスイングになるし、それほど左手が高い位置に到達しなければ、小さなトップオブスイングになるということです。
トップオブスイングの大きさは左サイドの可動域で決まる
右手でクラブを持ち、クラブをスイングプレーンから外さないでバックスイングをする。背中側にあるクラブに左手が届く限界値が、自分のトップオブスイングのポジションだ。つまりトップオブスイングを大きくするには、体の左サイドの可動域を高めるしかないということになる。
ところが右肩を開かないでクラブを持ち上げてしまうと、頭の上に右手があるので簡単に左手が届いてしまうんです。
非常に楽なトップオブスイングですが、捻転がないので、動力を他で補う必要が出てきます。 それは過度なフットワークや重心移動といったものなのですが、その補正作業がどんどんリスクのある方向に向かってしまうので、精度が失われてしまうのです。
もしスイングプレーンの概念を知っていれば、補正作業は要りませんし、そもそもトップオブスイングがどこか探す必要がありません。右手でクラブをプレーン通りに上げて、左手が届く場所がトップオブスイングです。勝手にでき上がりますので悩む要素がありません。
セルヒオ・ガルシア選手は父親がプロゴルファーなんですが「教わったのはグリップとスイングプレーンだけで、それ以外は習ったことがない」と言っています。
ガルシアのスイングを見るとこの話に納得できますし、それだけでマスターズチャンピオンまで行けるということを物語っています。これは極論としても、板(スイングプレーン)の原理を知っているか知らないかで、どこまで上達できるかが決まるのはれっきとした事実ですし、知っておいて損はありません。
楽なバックスイングでは加速できない
クラブがスイングプレーンから外れていると左手が楽に届くが、このようなトップオブスイングからは、強い圧をかけるエネルギーが生まれない。
【書誌情報】
『70台は楽に出る!「圧力系」インパクトの作り方』
著者:阿河徹
ボールがクラブフェースにきちんと当たる確率を高め、飛距離が十分出る― そんなスイングを実現するため著者ススメているのが「圧力系インパクト」。小さなバックスイングで強いインパクトを実現する。本書では、このインパクトの作り方を写真を数多く用いて解説。70台のスコアも可能にする、ゴルファー待望の一冊だ。
公開日:2021.04.17