重心距離の長い大型ヘッドは体幹の回転で振れば飛ばせる
次にクラブヘッドと飛距離の相関関係について説明しましょう。クラブヘッドの構造で飛距離に影響を与えるのは、重心深度と重心距離の2つです。
重心深度とは、クラブのフェース面からクラブヘッドの内部にある重心までの距離を指します。重心が浅いクラブヘッドは、重心位置からフェース面までの距離を短くして重心深度を浅くしようとするという構造上の理由から、フェース面が上下に厚いディープフェースとなります。
逆に重心までの距離を長くして、重心深度を深くしようとすると、フェース面は薄めのシャローフェースになるのです。
浅い重心のクラブヘッドは、インパクトの瞬間に起こるクラブヘッドの上向きを抑えられるため、打ち出し角度が高くなりすぎるのを防ぐ利点があります。
またバックスピン量も抑えられるので、球が上がりすぎるゴルファー向けといえます。
これに対して深い重心のクラブヘッドはインパクトの瞬間にクラブヘッドが少し上を向くため、打ち出し角度が高くなることとバックスピン量が増加するという性質があります。
浅い深度のクラブは、インパクトのクラブヘッドの返りを抑えることができるので、フックボールは防止しやすい反面、スライスボールが多いゴルファーには向きません。
一方、深い重心はフェース面が左右にぶれないため、ボールは曲がりにくくなるという特性を備えています。
重心距離の長い特性を生かしやすいスイングを実行する
もうひとつの重心距離とは、シャフトの軸線からスイートスポットまでの距離であり、通常はクラブヘッドの体積を大きくすれば重心距離も長くなります。
これも重心深度と似ていて、重心距離が短くなるとクラブヘッドはターンしやすくなり、ボールに左回転のスピンを与えやすくなります。
逆に重心距離が長くなると短い場合に比べてヘッドターンが抑制され、直線的なヘッド軌道になるのでボールは曲がりにくい。
しかし重心距離が長くなると、振りづらさを感じる上に、速く振った感はなくなります。そのため腕の操作だけでクラブを振ると、飛距離が出せる可能性のある長い重心距離がかえって仇となってしまうのです。
重心距離の長いクラブを体幹の回転で振っていけば、飛距離は間違いなく伸びるでしょう。現在のヘッド体積が460CC近くもある大型ヘッドは「真っすぐ飛ばせる」という長所があるので、使い方を間違えないようにしましょう。
【書誌情報】
『自己最速のヘッドスピードを叩き出すスイングの最終法則 筑波大学博士の飛ばし最強の教科書』
著者:/安藤秀 (筑波大学博士)
ゴルフでドライバーショットの飛距離が出る人たちの共通点は「ヘッドスピードが速い」ということ。そのため、ヘッドスピードを上げようと力にまかせてクラブを振っても、ヘッドスピードは思うようには上がらないことは多くのゴルファーが実感していることでしょう。 その理由は、ヘッドスピードの上げ方が間違っているということ。筋力や腕力がヘッドスピードを上げる決め手ではないのです。 この本では、ヘッドスピードを上げる重要な4つのポイントを明かします。具体的には、ダウンスイングの体の回転のタメ、ダウンスイングの腕の動きのタメ、フォロースルーのコック動作、フィニッシュの体幹部の逆ネジレのこと。 これらのポイントを写真を使いわかりやすく解説。さらに、ヘッドスピードのアップにつながる即効ドリルも数多く紹介。つらい筋力トレーニングではなく、ヘッドスピードを上げる4ポイントが身につく、クラブを使った練習法が数多く載っています。
公開日:2021.02.22