陸上競技 [棒高跳]競技別解説
自分の身体を投擲物にして乗り越える
走ってバーを乗り越えるという動作は走高跳と同様ですが、棒高跳の「走る」は、長いポールをたわませるための推進力になります。ポールを安定して持ち、走ることで推進力を得ながら、目標の起点部(ボックス)にポールを差し込んでいきます。このときポイントとなるのが、ポールのたわみが戻るときに自分の重心を合わせてポールに乗せていくこと。自分自身が投擲物になって、バーを越えるイメージです。
さらに、バーを越えるときは身体を変形させて、バーに触れないギリギリ、最短のところにスペースを作ります。そして、バーを「跳び越える」というよりは「乗り越える」感覚で身体を翻ひるがえしていきます。助走から突っ込み、身体を変形させてのベンディング、そして抜きまで、放物線のイメージを持って狙うということも大切な要素です。
競技の起源
棒高跳の起源は古く、紀元前1829年頃と言われている。狩猟によって生活していた人々が、獲物を追う際に川や溝などがあると、棒を使って対岸へ渡っていた。やがて仲間同士で川幅や柵の高さを競うようになり、競技の原形ができ上がったという。その後、1866年にイギリスで行われた競技会で棒高跳が採用されたことで、競技として確立された。
構えと突っ込み
●構え
【A】前足に重心を設定する
前足にしっかりと重心を設定したままポールを上げ、ポールを上げた勢いで助走を開始し、ピッチ走法で走っていく。
【B】後ろ足に重心を設定する
前足のかかとを地面に着けたまま、後ろ足にしっかりと重心を設定しながらポールを上げ、後ろ足を使ってゆっくりと助走を開始する。
●突っ込み
【A】一連の動作を一気に行う
ボックスに向かってポールを上から突き刺すように一気に突っ込む。さらに、ポールがボックスに突っ込まれ、たわみだしたと同時に身体を一気に空中へと押し上げるようにすることで、ポールがきれいに立ちやすくなる。
【B2】ためを作ってから動作する
ボックスに向かってポールをスライドさせながら徐々に突っ込んでいく。ボックスに突っ込めたら、ポールを十分にしならせ、しっかりとためを作る。その後、ポールの戻りに合わせて踏み切り、空中に身体を押し上げると、ポールがうまく立ちやすくなる。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
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公開日:2021.06.11