陸上競技 [円盤投げ]競技別解説
遠心力より「面の入れ替え」で投げる
円盤投げは、遠心力や回転力を使って投げているとイメージされがちですが、実際には面の入れ替えによって円盤をリリースしています。円盤を振る加速度を得ようと、身体の正面から円盤が遠くにいくイメージが強くなるほど、実際には円盤が身体から離れてコントロールが難しくなってしまいます。また、腕をスウィングするという意識が強いと、握力が耐えられなくなることもあります。ですから、体幹をしっかり使うことで面を入れ替え、最終的には身体の正面で、自分が狙ったところにリリースすることが大切です。自分の軸線上に構えて面の入れ替えで投げる(押し出す)という点では、砲丸投げのイメージとよく似ています。砲丸投げの場合は縦方向に押し出していますが、円盤投げでは水平方向に投げるイメージです。
競技の起源
円盤投げは投擲種目の中でもっとも古い歴史を持つ。その起源は、古代の兵士が川を渡る際、重量を減らすために盾を対岸に投げたことだと言われ、競技としては古代オリンピックから行われていた。近代オリンピックでは、男子円盤投げは第1回アテネ大会から、女子は1928年のアムステルダム大会から正式種目に採用されている。
ターンからリリース
【A】高い重心で回転動作
肘をしっかりと伸ばし、重心(腰の位置)が高い状態で回転動作を行う。ターンの途中にはあまり上下動しない。回転速度に対しては、比較的早めにコンパクトにまとめ、つま先部分を中心に意識すると、より速い回転を生み出しやすくなる。完全にブロックして投げるという動作ではなく、回転の途中で円盤を離す意識で行うほうが振り切りやすい。
【B】低い重心で回転動作
肘は軽く伸ばし、重心(腰の位置)が低い状態で回転動作を行う。踏み込みが強いため、円盤の軌道がターンの途中に上下動しやすい。回転速度に対しては、ゆっくりと1回転1回転を確認するような意識で、かかとを中心に力強く回転するとよい。リリース時にはしっかりと身体全体でブロックをし、円盤を下から上へと投げ出す方向へ送り込むように投げるとよい。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
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公開日:2021.06.14