体操[つり輪]競技別解説
強さ、柔軟性、連動性が求められる強烈な体幹競技
つり輪は、腕を脚のように使って「輪を体幹に引きつける→立つ」を繰り返しながら、その間に何度も回転するなど、非日常的な動作が連続した特殊な競技です。輪につり下がったときに、自分の軸線と重力線を合わせ、そこから推進力を得て上昇していき、手で立つことにつなげていきます。このとき、身体はつり下がっているのではなく、体幹の中心に引っ張っている状態になりますから、自分の一番強い腕のポジションを知っておく必要があります。
また、脚を腕に置き換えると、骨盤の役割を胸郭が担うことになりますから、胸郭までを腕として使う意識でコントロールするようにします。さらに、回転を止めるときには、強い体幹に加え、柔軟性や連動性も必要になります。体幹の圧力でどれだけ回転を止められるかということと、大きく体幹を変形させることが求められ、全方位で体幹を動かさなければならないため、つり輪は「強烈な体幹競技」とも言うことができます。
競技の起源
体操が盛んに行われた17~18世紀のドイツで、「学校体育の父」と呼ばれたアドルフ・シュピースによって取り入れられたと言われるが、ローマ時代既に運動のひとつとして存在していたという説もある。当時は、綱の端をまるめて結び、その輪に足を入れたり、ぶら下がったりすることが行われていたという。
振り上げポイント=加速ポイント
静、動が求められるつり輪。自分に合った軸ポイントを体得することがカギを握る。
【A】みぞおちを基点に全身を伸展
みぞおちと同様に軸ポイントとなる膝はつり下げられた状態となるため、みぞおちを基点に身体全体が伸び上がる意識で身体を振り上げる。
【B】首付け根と股関節を圧縮しながら引き上げる
軸ポイントの首付け根と股関節を圧縮していく動きで安定を得るため、身体を抑え込む意識で身体を振り上げる。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.06.23