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「食事」がスポーツ選手にとってプロテインやサプリメントを摂取することより重要な理由とは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

食事を見直す

●豊かな食生活が強さを育む
若いうちからプロテインやサプリメントを摂取する選手が増えているようですが、それらは調子が落ちたときにあくまで補助的に摂取を考えれば良いもので、大切なのはしっかりと食事を摂ることです。「栄養摂取」にとらわれすぎて、米はエネルギー、ササミは筋肉の素などと割り切る風潮もありますが、重要なのはあくまで「食事」。咀嚼して飲み込んで食べるという消化能力自体が、身体の強さにつながるのです。

特にアスリートの場合、食べたものを内臓で分解し、酵素を作って吸収合成させる機能を上げなければなりません。内臓を鍛えなければ身体は回復しませんし、実際に内臓が強い選手は本当に「強い」のです。また最近では、子どもの個食が問題視されていますが、子どものうちに楽しく食事をすることは、競技の練習よりも大切なことだと思います。楽しい食事は、ストレスを緩和させてくれますし、美味しい味や香りは、疲れた脳や肉体をリフレッシュさせてくれます。そして何よりも、家族で食卓を囲むことが豊かな情緒を育むことにもつながるのです。

●食べる楽しさ、喜びを感じる
私は料理が趣味なので、合宿などではたびたび、選手のために趣向を凝らした食事を作っています。たとえば山で合宿をしたときは、地元の猟師の方にイノシシの肉をお願いし、野趣満点の食事を楽しんでみたり、骨つき肉にベーコンを巻いて、アニメの原始時代の肉に見立てて楽しんだり、とにかく美味しいものを楽しく食べることを心がけています。苦しい練習を終えたあとに、チームメイトと歓談しながら楽しく食事をすることは、連体感を生むのにも一役買ってくれます。

また、何でも面白がって食べることは、海外遠征でも重要なことです。海外に行くと食が細ってしまうという選手もいますが、現地の人が出してくれたものを「美味しい」と食べることは、コミュニケーションにもつながってきます。いつどんなときでも楽しく食事をすることは、人が生きる上でも大切な要素なのです。

●「味覚」を働かせる
食事の中で「味覚」を働かせるのも大切なことです。五感が優れないと第六感は働きませんから、まずは五感を研ぎ澄ませる必要があります。特に日本人は味覚が優れていると言われますが、味の変化に気づけるかは、大事な局面で「いつもと違うな」ということに気づけるか否かにもつながってきます。

味覚をはじめとした感覚器による「気づき」が得られるのは、常に刺激にさらされているからです。辛い、甘い、酸っぱいといった味覚から、熱い、冷たいという温度まで、どれだけ感じ、そして脳が反応するかが重要なのです。

【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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