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体細胞には46本の染色体がある!【病理学の話】

Text:志賀貢

染色体とゲノムの関係とは!?

染色体は「遺伝情報の発現と伝達を担う生体物質」です。塩基性色素(ヘマトキシリンなど)でよく染色されることから染色体と名づけられました。

DNAがヒストンと呼ばれるタンパク質に巻きついて、糸状に折りたたまれ凝縮したものが染色体としてそれぞれの細胞の中に収納されています。つまり、染色体はDNAとタンパク質からなる構造物といえます。この構造でDNAは破壊されにくくなります。

体細胞(生殖細胞以外)には23対(46本)の染色体があり、大きさの順に1〜22番までの番号が振られ区別します。そのうち22番までを「常染色体」といい、23番目の染色体は「性染色体」といい、男性はXY、女性はXXの染色体を持ちます。

男女とも、46本のうち半数の23本は母親から、半数の23本は父親から受け継ぎますが、男女の性別の違いは性染色体の組み合わせによって決まります。

次に、「ゲノム」とは遺伝子の「gene」、染色体の「chromosome」を合成した言葉で、「その生物が生きていくために必要不可欠な遺伝情報の収められた、染色体の1セット」と定義されています。

人のゲノムを「ヒトゲノム」といい、2003年にヒトゲノムのDNAを構成する30億塩基対(染色体23本分)の配列の基本情報を解読し、その働きが明らかになりました。

ただ、実際には母親と父親から1セットずつ受け継ぐので、60億塩基対となるのですが、父親の1番目と母親の1番目の染色体が持つ情報は、多少異なるものの大きな違いはみられません。

そこで「ヒトゲノム」というときは1セットのゲノムに含まれている情報をいい、30億塩基対といわれるのです

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。