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夢の長寿遺伝子があるってホント?【病理学の話】

Text:志賀貢

腹7分目が健康寿命を延ばす

生物には、ほ乳類や昆虫から、単細胞のような下等生物と、さまざま存在していますが、すべてに共通した生命現象があります。それが老化現象です。

老化研究では、体長が1mmくらいの1000個ほどしか体細胞を持たない土壌中に棲む線虫の一種「シー・エレガンス」という小さな生き物が、重要な生命現象の研究に大きな役割をはたしてきました。

この線虫は、遺伝子レベルでは人と共通の祖先に由来する確率が高く、多細胞生物でありながら細胞数が少なく、寿命が短いので短期間で効果を知ることができ、しかも基本的な老化のしくみが人とよく似ているのです。

その糸口となったのは、「サーチュイン」という名の長寿遺伝子でした。特に酵母菌の中から発見されたSir2(サーツー)の遺伝子の量が減ると寿命が短くなり、活性化されると寿命が長くなります。

そのSir2と似た遺伝子は、人も存在しており、人の寿命にもこのサーチュインが大きく関与しているのではないかと考えられています。

また、カロリー制限による長寿とサーチュインには大きな関係があると考えられています。それは、サーチュインはカロリー制限によって活性化されることがわかっているからです。

アメリカの大学の有名なアカゲザルの研究では、通常の70%にカロリー制限をした結果、健康状態は改善(健康寿命を延ばす)したものの、寿命が延びることについてははっきりした結果は出なかったということです。

人も腹7〜8分目の食生活で適度な運動が健康に良いことはいうまでもないでしょう。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。