ボール保持者は相手を引きつける
ボール保持者は単に選手にパスするのではなく、相手の背後にいる選手へボールを渡すために、そのパスコースを消している相手を自身に引きつけなければならない。相手を引きつけるためのコンドゥクシオン(スペースへ運ぶドリブル)が現代のサッカーでは年々重要性が高まっている。
大事なことは、常にコンドゥクシオンをしているボール保持者に対して、危険回避のバックパスを準備することだ。コンドゥクシオンをしているボール保持者が前方にパスコースを見つけることができなった時のためである。現代サッカーは、非常にコンパクトな守備ブロックを形成するので、DFラインでフリーになったCBが前方の空いたスペースへ素早くコンドゥクシオンをして相手FWラインを超え、相手MFラインを引きつけ、相手MFラインの背後でフリーになっている選手へボールを渡すことをしなければ相手MFラインを超えることが難しい。
DFラインの選手、特にCBにはコンドゥクシオンの技術と、それ実行する意思決定の速さと勇気が求められている。現代のCBは、ゲームメーカーとしての資質が必要である。もし、CBがコンドゥクシオンで相手を引きつけることができなければ、4つのラインを作って攻撃してもフリーマンにパスを通すことは難しく、位置的優位を獲得している選手も使えなくなってしまう。
ポジショナルプレーは相手のFWラインをできるだけ少ない人数で超えることで成り立っている。ポジショナルプレーを可能にするには、できる限り位置的優位を獲得した選手を相手の背後(ライン間)に多く配置することである。
●コンドゥクシオンで相手をボール保持者に引きつける
コンドゥクシオンで相手を引きつける選手は、常に、危険回避のバックパスを念頭に入れて相手を引きつける。ボール保持者の近くにいる選手は、常にコンドゥクシオンで相手を引きつけているボール保持者をサポートする必要がある。
ポジショナルプレーは、位置的優位を獲得している選手にボールを渡す、もしくは利用することが必要不可欠である。そのためにボール保持者は相手を引きつけることが重要であり、相手が前に出てこないのであれば、自ら、前方のスペースへコンドゥクシオンを実行し、相手を引きつけて、相手の背後にいる選手にパスをしなければならない。この時3人目の動きを使うと効果的であり︑危険回避のバックパスのコースは常に準備しておく。
相手の背後に多くのパスの選択肢を作るために、できる限りグラウンド中央の相手MFラインとDFラインのライン間に多くの選手を配置する。ライン間に多くの選手を配置するためには、DFラインやPVは最低限の人数で構成しなければならない(相手FWラインの人数に対して+1〜2人)。
GKにパスをする能力が備わっていれは、DFラインの1人としてプレーをしてもらうことができると、さらに多くの人数を前方に配置することが可能となる。しかし、このプレーは自陣のゴールを空けてしまうので、大きなリスクが伴う。試合の状況によってはGKがDFラインの1人としてプレーをすることも未来のサッカーでは可能であると思う。
●前方のスペースへコンドゥクシオンを実行し相手を引きつける
現代サッカーでは、特にCBのコンドゥクシオンの技術の重要性が高まっている。 CBがコンドゥクシオンで相手FWラインを超えることができると、攻撃側は多くの人数を前方に配置することが可能となる。
出典:『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』著/坂本圭
『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』
著者:坂本圭
日本ではまだ珍しいサッカー攻撃の概念・ポジショナルプレーを取り入れた戦術書!!スペインのプロチームでコーチライセンスを獲得した著者が、サッカーを勉強したい学生や指導者、日本式ではなく世界のトップシーンで導入されている新しいサッカーの攻撃方法を実践したいと思っている方々のために、ポジショナルプレーを実践するための方法としてダイヤモンドオフェンスを伝授します。
公開日:2021.11.27