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自己組織化が起こす4つのレベルの構造化トレーニングとは!?【ダイヤモンドオフェンス】

Text:坂本圭

構造化トレーニング4つのレベルの説明

【1】一般的トレーニング
スポーツの基本的な能力(筋力、持久力、スピード)に類似する一般的な基準である。スポーツの基本的な能力、アスリートとしての一般的な能力が、その選手の基盤になる。高いレベルでプレーをするには、この一般的なアスリートとしての基盤があってこそ、次の段階に入ることができる。健康のための筋力トレーニングやランニング、他のスポーツをするなどがこれに当たる。アスリートとしてのベースとなる一般的なスポーツの基本的能力である。

【2】方向付けられたトレーニング
方向付けられたとは、専門分野のスポーツの特有の箇所を開発するために必要な側面(アクション)に焦点を当てることである。サッカ ーでは、ボールを使ったサーキットトレーニングなどがこれに当たる。ダッシュ、ジャンプヘッド、急停止、急発進、ドリブルスラローム、コーチにボールを壁パスしてシュートなど様々なサッカーに必要なアクションである。複雑ではない意思決定のある状況を設定し、選手の技術、コーディネーション能力やコンディション能力(サッカーに方向付けられた持久力、シュートを打つ筋力、競り合う筋力、ジャンプする筋力、移動する筋力、障害予防)を最適化するのに適している。

【3】特有のトレーニング
選手の技術的-戦術的な側面を最適化することにアプローチする。グローバルトレーニングもこれに当たる。特有のトレーニングでは明確にポジションを決めることはなく、試合時のポジションでプレーをするわけでもない。選手の普遍的なサッカーの理解と基本的な個人能力の向上をするためのトレーニングとして最適である。選手は自分がどのようなトレーニング状況で、どこにポジションを取るべきか、どのようなプレーが良いのかを常に意思決定しなければならない。ただし、試合時のポジションについてトレーニングをするわけではないので、チームのポジション別の役割を身につけることは難しく、実戦に向けて即効性があるわけではない。ボール、相手、決まったスペース、意思決定がある状況で、サッカー特有のアクションが頻出する状況をオーガナイズすることが大事だ。

【4】試合形式のトレーニング
部分的に試合の性質が現れる状況を克服する、もしくは適応するためのトレーニングである。試合形式は各選手を、試合を想定したポジションに配置してトレーニングするので、そのトレーニング状況での個人の役割を明確に理解しトレーニングすることができ、実戦にすぐに役立つ。ただし、特有のトレーニングをシーズン中に織り交ぜないと、長い期間で見るとサッカーをどのようにプレーするかという普遍的で基本的なプレーへの理解や向上には繋がらない。シーズン中、試合形式のトレーニングが多くなるのは当然であるが、特有のトレーニングを1日のセッションの中で1つは入れるなどして選手の普遍的で基本的な能力と専門的(ポジション別)な能力の両方を向上させることが重要である。ボール、相手、決まったスペースとゴール(ラインゴールも可)があり、プレーをする方向性が決まっていて、意思決定があり、試合と同じポジションやシステムで行う、試合のある局面を切り取ったトレーニングである。

「一般的トレーニング」は主にプレシーズンの最初やリハビリ、障害予防、オフシーズンのトレーニングなどで行う。「方向付けられたトレーニング」は、コーディネーション構造(技術、ボールなしのアクション含む)の要素が強いので、プレシーズンを始め、シーズンを通して毎週のトレーニングで定期的に行う。

ダイヤモンド・オフェンスは戦術なので、「特有のトレーニング」と「試合形式のトレーニング」を使い優先シミュレーション状況でトレーニングをする。これら4つのトレーニング(特有、試合形式)を行うことで、選手間の相互作用から選手がその状況を学ぶことで自己組織化が起こる。チームスポーツのトレーニングは、そのスポーツ特有の選手間の相互作用が起こるトレーニング方式を選択する必要がある。

一般的トレーニングでは優先シミュレーション状況でトレーニングをするのは難しいが、方向付けられたトレーニングではできる限り、サッカーの試合の状況で行うアクションや技術を、ボールと相手がいて、認知(簡単な意思決定)がある状況を設定して実行する。選手はそのアクションや技術を学ぶことで自己組織化が起こり、それが実際の試合で使えるコーディネーション能力(技術含む︶)なる。

出典:『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』坂本圭

『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』
著者:坂本圭

日本ではまだ珍しいサッカー攻撃の概念・ポジショナルプレーを取り入れた戦術書!!スペインのプロチームでコーチライセンスを獲得した著者が、サッカーを勉強したい学生や指導者、日本式ではなく世界のトップシーンで導入されている新しいサッカーの攻撃方法を実践したいと思っている方々のために、ポジショナルプレーを実践するための方法としてダイヤモンドオフェンスを伝授します。

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