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とっさのときでも体が適切な行動をとれるのは、どうしてなの?【解剖学の話】

Text:坂井建雄

脳に代わって脊髄が中枢として働く

私たちが動くとき、外界の変化に合わせて適切な行動をとれるのは、外からの情報(信号)が末梢(まっしょう)神経と脊髄(せきずい)を経由して、司令部のある脳に伝わり、組み立てられた指令が、再び脊髄と末梢神経を通って、手足の筋肉などに送られるためです。

しかし、急に物が飛んできたりして、とっさに危険から身を守るときなどは、脳に情報を伝え、脳の指令を待っていたのでは間に合いません。

このようなときは、脳に代わって脊髄が中枢として働き、意識することなく、体に反射運動を起こさせ、物がぶつかる前に反応できるようにして、危険を回避しています。このしくみを、「脊髄反射(はんしゃ)」といいます。

脊髄反射の場合、脳のような役割を担っているのが脊髄で、信号は脳を経由せず、脊髄が信号を処理して筋肉に指令を伝えています。

脊髄反射を利用したのがリハビリテーション

脊髄から左右に出る末梢神経(脊髄神経)は31対あり、それらは体中にくまなく伸びています。脊髄神経のうち、脊髄の腹側から伸びているのは運動の信号を伝える「運動神経」で、背中側から伸びているのは感覚の信号を伝える「感覚神経」で、全身の動きに関係しています。

ヒトが歩行するとき、意識せずとも次は右足、次は左足、と足が交互に出せるのも、脊髄のなかにこうしたしくみが備わっているためです。

また、脳の一部が壊れて、麻痺(まひ)が起こったようなとき、この脊髄反射を利用して医療に役立てているのが、リハビリテーションなのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井建雄 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
順天堂大学保健医療学部特任教授、日本医史学会理事長。1953 年、大阪府生まれ。1978 年、東京大学医学部卒業後、ドイツのハイデルベルグ大学に留学。帰国後、東京大学医学部助教授、順天堂大学医学部教授を歴任。医学博士。専門は解剖学、細胞生物学、医学史。専門書だけでなく一般向け書籍まで、著書、監修書を多数刊行。近著書は、『医学全史』(ちくま新書)、『図説医学の歴史』(医学書院)など。

ヒトの骨は全部で何個あるの? 血管の長さって、どれくらいあるの? 女性と男性で呼吸法が違うって、ほんとう? いちばん身近でディープ! ヒトの体のナゾを徹底解明! 専門的知識ゼロでOK! 骨、筋肉、肺、心臓、腸、脳……。超素朴な疑問で楽しむ解剖学のキホン。いま、解剖学は医療職やスポーツ関係者だけでなく、健康や体に対する意識の高い人を中心に広く一般に関心が高まっています。解剖学は、人体を切り開き、ヒトの体のしくみと働きを追求する学問。そんな解剖学と解剖学から発展した生理学をベースに、いちばん身近でディープな人体の謎を、ゆるくて楽しいイラストとともにわかりやすく解説します。専門的知識ゼロでも大丈夫。素朴な疑問形式で、骨や筋肉、関節から、呼吸器、循環器、消化器、呼吸器、感覚器、生殖器まで、知っておきたい体のコトが楽しくわかります。日常生活にも役立ち、楽しさ満載の図解本。監修は、解剖学の第一人者の坂井建雄先生です。 ヒトの骨は全部で何個あるの? 血管の長さって、どれくらいあるの? 女性と男性で呼吸法が違うって、ほんとう? いちばん身近でディープ! ヒトの体のナゾを徹底解明! 専門的知識ゼロでOK! 骨、筋肉、肺、心臓、腸、脳……。超素朴な疑問で楽しむ解剖学のキホン。いま、解剖学は医療職やスポーツ関係者だけでなく、健康や体に対する意識の高い人を中心に広く一般に関心が高まっています。解剖学は、人体を切り開き、ヒトの体のしくみと働きを追求する学問。そんな解剖学と解剖学から発展した生理学をベースに、いちばん身近でディープな人体の謎を、ゆるくて楽しいイラストとともにわかりやすく解説します。専門的知識ゼロでも大丈夫。素朴な疑問形式で、骨や筋肉、関節から、呼吸器、循環器、消化器、呼吸器、感覚器、生殖器まで、知っておきたい体のコトが楽しくわかります。日常生活にも役立ち、楽しさ満載の図解本。監修は、解剖学の第一人者の坂井建雄先生です。