レベルアップのために最優先事項を決める
●松尾衛/理論物理学者
「予測>判断>動き>打ち方」という4つの分類は、今までのテニス教材にはなかったものです。これで頭の中がすっきりし、やるべき優先順位もわかり、かなり救われる人が出てくると思います。もちろん、私もそのひとりです。
うまくなるとか、ミスをしなくなるというのは、なにが要因となっているかがわからないと対策の練りようがありません。多くの場合、原因がわからない。「ファクター(要因)」が多すぎて、結局どこに向けばいいのかわからない。原因を分類する判断基準も世の中にあまり出回っていないので、わからないから、結局、身体を鍛えることになる……。走力を上げるとか、腕力を鍛えるとか。もちろん、そこの部分では数カ月前の自分には圧勝できるようになるので、それはそれでとても重要ですけれど、まったく別のレベル、段階にチャレンジするには、筋力アップするだけでは難しい。
自分と近いレベルの階層内だけであれば、筋力とか走り込みである程度、逆転可能だと思います。でも、レベルの離れた階層間、例えば中級者と上級者という階層間の場合、筋力や走力のトレーニングを積み重ねるだけでは逆転不可能だと思います。あと、世界トップ選手同士でも、みんな筋力や走力も桁違いに持っている。その中で、なにが勝敗を分けるのか? 大きな要因のひとつが、予測・判断となるわけですね。
このようにしてファクターを絞って、原因がわかると前進できそうですね。いきなりすべてを連動させるには、誰にでも限界がありますから。
【ポイント】「予測>判断>動き>打ち方」を理解・実践すれば、あなたのテニスは確実にレベルアップする。
『新装版 勝てる!理系なテニス 物理で証明する9割のプレイヤーが間違えている〝その常識〟!』
著者:元オリンピック&日本代表コーチ 田中信弥
理論物理学者 松尾衛
元オリンピック&日本代表テニスコーチと気鋭の物理学者による常識を覆すテニス理論、指南書。5万人超のウィークエンドプレーヤーが納得した現場理論を、理論物理学で証明した、すべてのプレーヤーのテニスを躍進させる書。「サービズは上から下に打つのは間違い」「テニスは不等式でできている」「身体は動かさずに打つ」など、常識破り、型破りな指導法で結果を出し続ける田中コーチの独自のテニス理論を、理学博士の松尾氏が自ら体験で得たプレーを「物理屋」の観点で解説・証明する―――まったく新しいテニスの本!
公開日:2021.09.10