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テニス脳を数倍早く鍛え上げられる勝てるテニス選手になる為の練習法とは!?【新装版 勝てる!理系なテニス】

勝負は頭の中で決まる

●田中信弥/元オリンピック&日本代表コーチ

 昔、伊達公子さんと全日本学生チャンピオンが横並びのコートで練習していたことがありました。そして偶然、ふたりともバックハンドのクロスコート打ちを練習し始めたのです。世界4位と日本学生チャンピオンとの違いを、つぶさに比較できる機会です。

驚かれるかもしれませんが、ボールのスピードは全日本学生チャンピオンのほうが圧倒的に速いのです。世界4位の伊達さんのほうが、明らかに遅い。ところがです。ボールスピードでは大差で負ける伊達さんですが、頭の使い方では格の違いを見せつけます。単なるバックハンドのクロスコート練習と思うことなかれ。なんと彼女は、半面クロスコート打ちの中で、見事に試合をしていたのです。

1球目を、ベースライン深くに打つ。次の返球が、それほどすごいものではないことを察知した彼女は、すかさずコートの中に1~2歩入り、高い打点のバックハンドクロスで角度をつけて打つ。続いて、コートの外に走ってボールを追いに行く練習パートナーを見て、今度はセンター付近にエース級のボールをお見舞いしたのです。

横に目を移し、全日本学生チャンピオンのバックハンドクロスの練習を見ると、バコン、ボコン、バシン。ものすごい打球音を響かせ、ひたすらボールをひっぱたいています。そのボールは確かにすごく、コートの後ろから見ていたテニスファンの数人が、「あれっ? 世界4位より、全日本学生チャンピオンのほうがうまいのでは?」と、勘違い発言をしていたほどです。でも、もしこのふたりが対戦したら……。

伊達さんは、テニスが頭のスポーツであることを知っていたのです。では、ウィークエンドプレーヤーが伊達さんのように頭を使うテニスをするには、いったいどうすればいいのか? 彼女のような経験も才能もないなか、クレバーなテニスを展開するには?

試合を見るのです。できるだけたくさんの試合を見る。本来は、松尾さんが言うように、自らの体験で経験値を積み上げ、伊達さんのようになっていきます。ですが、ウィークエンドプレーヤーには、そんな時間はありません。なので、疑似体験。自分が試合をできないから、他人の試合で経験を積むのです。

これは、かなり効果的な手法です。テニスの経験値がある私でさえ、子どもの頃はとにかくテレビで放映される試合は全部録画(昔はユーチューブなどありませんでしたから)。そして、VHSのテープ(なっ、懐なつかしいぃ~)が擦り切れるまで見る。その中で、数えきれないほどのパターンを学び、コートに出ては試し、テニス脳を鍛えてきました。

いま思えば、試合を見るのが嫌いなジュニア仲間は、やはりプロになれないことが多かったように思います。自分の試合から学ぶのはもちろん、他人の試合からも学ぶ。これができるかできないかで、頭を深く使うテニスができるようになるか? ボールを打つ楽しさだけでテニスを終わらせることになるか? ここに大きな違いが表れるようです。

【ポイント】他人の試合をたくさん見ることで、疑似試合体験ができる。すると、テニス脳は数倍早く鍛え上げられる。

『新装版 勝てる!理系なテニス 物理で証明する9割のプレイヤーが間違えている〝その常識〟!』
著者:元オリンピック&日本代表コーチ 田中信弥
理論物理学者 松尾衛

元オリンピック&日本代表テニスコーチと気鋭の物理学者による常識を覆すテニス理論、指南書。5万人超のウィークエンドプレーヤーが納得した現場理論を、理論物理学で証明した、すべてのプレーヤーのテニスを躍進させる書。「サービズは上から下に打つのは間違い」「テニスは不等式でできている」「身体は動かさずに打つ」など、常識破り、型破りな指導法で結果を出し続ける田中コーチの独自のテニス理論を、理学博士の松尾氏が自ら体験で得たプレーを「物理屋」の観点で解説・証明する―――まったく新しいテニスの本! 

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