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二点吊り子スイングが飛距離と方向性に有効な理由とは!?【キープレフト理論 実戦強化編/和田泰朗】

Text:和田泰朗

ブルックス・ケプカも、タイガーのニュースイングもキープレフト

世界のプロのスイングが振り子から二点吊り子になった主因は、クラブが軽くなったことです。素材が限られ、開発技術も乏しかった時代は、インパクトでハードヒットする道具の軽量化は難しかった。

かといって重くするのにも限度があります。どれだけの人が重いクラブを持って回転しきれるか? ということになるからです。そういう意味では、位置エネルギーを利用した二重振り子のテクニックが優先されたのは必然だったといえるでしょう。

テクニックで飛ばすのか、パワーで飛ばすのか、もちろんパワーのある人がテクニックを使えれば最高ですが、ゴルフは面白いもので、力のある人が二重振り子のテクニックを使うとチーピンが発生します。腕に筋肉がついている、お相撲さんのような人がスイングすると、振り子が使えず回転運動だけになってしまうからです。

クラブが軽く、かつ長くなったことで、振り子を使わず回転運動によってクラブの入れ替えができるようになりました。斜めの棒を斜めに使える二点吊り子運動では、ズレた位置にある左右の手を入れ替える動作が入ります。ダウンスイングからインパクトで体を反転させると上下の手が入れ替わるのです。そのため、二重振り子で必須だったテコ(ローテーション)が不要になり、フェース面の向きも変わらなくなりました。

一昔前のゴルフシーンに目を向けると、飛ばし屋と呼ばれる人の多くは、ショートゲームを苦手としていました。振り子運動はヘッドスピードを上げるには有効ですが、その必要のないショートゲーム向きではないからです。ロブショットを多用するテクニシャンはおおむね振り子タイプ。手首を柔らかく使って打つのが抜群に上手ですが、これは練習環境と練習量があっての賜物。アマチュアゴルファーのことを思うと、振り子には限界があると私はとらえています。

二点吊り子ならすべてを網羅できます。日本ゴルフ界のレジェンドである、佐藤精一プロや故杉原輝雄プロはまさにキープレフト。左ヒジを抜いて二点吊り子で振っていました。ブルックス・ケプカも、タイガー・ウッズのニュースイングもキープレフト。そもそも、振り子の原理でゆっくり振ってヘッドを走らせるだけのスイングで300ヤードも飛びません。

クラブの位置エネルギーによって生じる慣性モーメントなどたかが知れています。自分の力で振り上げて、自分の力でボールを打たなければPGAツアーの飛ばし屋のようなショットは打てません。もちろん、スイング時の回転スピードはある程度必要ですが、そこはスポーツ。頑張るところは頑張らなければいけません。

もうひとつつけ加えると、タイガーは「テークバックは30センチ真っすぐ引く」といいますが、これは二重振り子(三角形)のイメージで動いたのでは不可能。軸を移動しない限り真っすぐには引けません。

でも、二点振り子運動なら簡単にできます。クラブだけ動かしたらアウトサイドに動きますが、体の回転が伴うので真っすぐに引けるのです。

フェースの向きも変化しない。こうなるとバックスイングで左肩が入ります。トップまでの過程で左腕が伸びるという教えがセオリーとなっていることも理解できるはずです。

二重振り子では三角形を崩さないとテークバックで、ヘッドを真っすぐ引けないが(右)、二点吊り子運動なら普通に引ける(左)

出典:『世界が認めた究極のシンプルスイング キープレフト理論』著/和田泰朗

【書誌情報】
『究極のシンプルスイング キープレフト理論 実戦強化編』
著者:和田泰朗

ゴルフスイングは一般的に「振り子運動」ととらえられている。本書のスイング論である「キープレフト理論」は、クラブを体の左サイドにキープして振る考え方。クラブのグリップエンドからシャフトがもっと長くのびていて、それが体の左サイドにずっとあるように振るイメージで、スイングを「吊り子運動」を考えている。振り子運動に比べリストコックやアームローテーションへの意識は不要で、スイングの動きがシンプル、再現性が高いスイングといえる。スイングに不安を持つアマチュアゴルファーに、ぜひすすめたい。本書は、2019年に刊行した『究極のシンプルスイング キープレフト理論』に続く著書。前作のテーマ「スイング作り」を、今回は「スコア作り」に変え、「キープレフト理論」を駆使したラウンド実戦法写真を多用してわかりやすく解説する。この理論の考案者・和田泰朗プロは、世界的ティーチングプロ団体WGTF(World Golf Teachers Federation)の一人で、会員の1%しかいない「マスター」の資格を取得。さらにこの理論が認められて2019年、WGTFのティーチングプロ・トップ100に選ばれている。また、2020年には女子プロのトーナメントを運営するなど、その活動が注目されている。