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キープレフトで振るとボールが飛ぶ究極の理由とは!?【キープレフト理論 実戦強化編/和田泰朗】

Text:和田泰朗

キープレフトで振るとボールと一緒にクラブも飛ばしたくなる!?

クラブの使用条件と並んで、すべてのスイングメソッドに必要とされるのが回転運動です。ボールにフェースをコツン! と当てるだけならともかく、遠くに飛ばすには回転が不可欠です。回転運動によって起こる物理的な現象として見逃せないのが、「遠心力から放たれた物体は直線を描く」という法則です。

たとえば、地球から月に衛星を飛ばす場合、最初に地球の周りをぐるぐる周回させ、そこから放つ形で月に向かわせます。野球もソフトボールも、弧を描いてからボールを放ち、放たれたボールは真っすぐ飛びます。カウボーイの投げ縄、バッティングセンターのピッチングマシンもしかりです。

これをキープレフトにあてはめてみましょう。キープレフト理論では、体の左サイドにキープしたクラブがダウンスイングからインパクトに向かいます。

このとき右手は遠心力によって放たれる形になるので、ベクトルは目標方向を向きます。体操で手をブラブラさせたまま体を速く回すと手が体から離れ、もともとは右腰のヨコにあった右手が左前方に投げ出される感じになるの方向に向かうのと同じです。

キープレフトの究極は、フォローからフィニッシュで右手がボールを追いかけるように放たれ、左手がお尻のヨコにくる形です。現実的には放たれませんが、飛ばしたいと思ったら右手は放してもいいくらい。実際、ボールと一緒にクラブも投げたい衝動にかられます。要するに、体の回転によって、右手と左手は違う方向に向かうということです。

さらにいうなら、ボールを飛ばすにはヘッドを速く振れればいいわけですから、加速させて放つべきはクラブヘッド。インパクトの瞬間にボタンでも押してヘッドだけが飛んでいけばいいのですが、そうはいかないので、ヘッドが弧を描くことで生じる遠心力を利用して放った感じにする。その結果がフォローとフィニッシュです。

振り子運動ではフォローでクラブを振り抜いて終わりの感じですが、二点吊り子だとずっとそのまま。最終的にはヘッドが跳ね上がってグリップが下にある形になるので二重振り子とあまり変わらないシルエットになりますが、理論上はまったく別の動き方をしています。

だからということもありますが、フィニッシュに関してはカッチリとした定義がありません。タイガー・ウッズのスイングはすごく格好いいのに、フィニッシュはどことなくいびつに見えます。これは右手を放したいからだと私は考えています。打ったあとまで左手と一緒にクラブを持ち続けたくない。体に悪いので本当は投げ出したいのです。

こんな理由があるので、ルールに従って動くのはインパクトまで。あとは成り行きで構いません。何より大事なのは回りきることで、回転が止まるのが一番いけません。

また、遠心力によって物体が放たれる現象は、骨盤に対して胸郭、胸郭に対して肩甲骨、といった関係の下でも発生します。「下半身主導で腰が回っても肩は開いてはいけない」という話を聞いたことがあると思いますが、わざわざそんなことをしなくても、遠心力がつけばそれぞれの間に角度差が生じて順繰りに動きます。

スイングではこのメカニズムさえ再現できればいい。野球のバッターがホームランを打つときは、腰は動いていますが肩は開いていません。これは別に肩が開かないように我慢しているわけではありません。骨盤がメインになって動けば、勝手に時間差ができるということ。股関節も肩甲骨も遊離関節ですから、回転さえできればこの順番に放たれるのです。

出典:『世界が認めた究極のシンプルスイング キープレフト理論』著/和田泰朗

【書誌情報】
『究極のシンプルスイング キープレフト理論 実戦強化編』
著者:和田泰朗

ゴルフスイングは一般的に「振り子運動」ととらえられている。本書のスイング論である「キープレフト理論」は、クラブを体の左サイドにキープして振る考え方。クラブのグリップエンドからシャフトがもっと長くのびていて、それが体の左サイドにずっとあるように振るイメージで、スイングを「吊り子運動」を考えている。振り子運動に比べリストコックやアームローテーションへの意識は不要で、スイングの動きがシンプル、再現性が高いスイングといえる。スイングに不安を持つアマチュアゴルファーに、ぜひすすめたい。本書は、2019年に刊行した『究極のシンプルスイング キープレフト理論』に続く著書。前作のテーマ「スイング作り」を、今回は「スコア作り」に変え、「キープレフト理論」を駆使したラウンド実戦法写真を多用してわかりやすく解説する。この理論の考案者・和田泰朗プロは、世界的ティーチングプロ団体WGTF(World Golf Teachers Federation)の一人で、会員の1%しかいない「マスター」の資格を取得。さらにこの理論が認められて2019年、WGTFのティーチングプロ・トップ100に選ばれている。また、2020年には女子プロのトーナメントを運営するなど、その活動が注目されている。

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