新しいクラブには新しい使い方がある
ゴルフが道具を使うスポーツである以上、道具の特性に合った技術が求められるわけで、ここをおざなりにすると上達は望めません。
たとえば現在のクラブは昔のクラブよりもスイートスポットが格段に広くなっていますから「芯に当てる技術」というのはさほど求められていません。また、昔のクラブは総重量が重たかったので、力のない女性や年配の方などは振り切ることができず、自ずと「インパクトしたら終わり」というスイングになっていたものです。
しかし現代のクラブは軽いので、そういうスイングは見当たらず、女性でもしっかり振り切るようになりました。
このように大きく進化を遂げているクラブを使いこなすことが上達に直結するのであり、そのためには過去の常識にとらわれないことが大切です。
特にドライバーでは効率よくクラブの持っている力を引き出すというよりも、メディシンボールを投げるようなゴルファーの最大出力により、インパクトでボールに最大圧力をかける動作がスイングの本質になっているのです。
松山英樹選手やアダム・スコット選手のスイングを見ると、クラブを振り回しているというようなニュアンスはなく、クラブをつねにコントロール下に置き、フェースの向きとプレーンを軌道に対してスクェアにし、そこにエネルギーを注ぎ込んでいるように見えます。
それが現代のクラブの理にかなった使い方であり、だからこそ、いまだにクラブを振り芯に当てている日本ツアーの選手たちと大きな差がついている理由と言えるでしょう。
ですから、この章では最新クラブの使い方を中心にスイングを解き明かしていこうと思います。新しいクラブには新しい使い方があり、それを知らないことには本当の意味での上達は望めないからです。
また、ゴルフクラブの構造による特性がわかれば、グリップの意味やあるべきインパクトの形なども見えてくると思います。
【書誌情報】
『一生ブレない身体のスイング』
著者:永井延宏
ゴルフのスイングはゴルフクラブと自分のバランスが大切。最新のクラブヘッドが大型化するにつれて、クラブに働く力と自分の力を均衡させることが重要になっている。この本では、最新のクラブを題材に、いまのクラブに合ったボールの打ち方を写真でわかりやすく解説。さらに、クラブに働く遠心力など、見えない力に負けない身体の効率的な使い方を練習ドリルとともに紹介。「入れ替え動作」という、身体の動かし方を写真でくわしく説明している。
公開日:2020.08.01