行きと帰りで階段のステップの幅が違う
ここまでお話ししたスイングのイメージをまとめると、インパクトゾーンの9時のポジションからクラブを下降させながら、身体がターンして180度を作り、そこからクラブが上昇しながら90度動いてフィニッシュ。その前に12時の位置のトップから9時の位置に来るまでの切り返し動作による90度がありますから、トップからボールを打ち抜く360度の円運動は270度の下降と90度の上昇の組み合わせというモデルになります。
通常、12時の位置から再び12時の位置まで戻って来る360度の円は、180度下降して6時の位置で最下点をむかえ、そこから上昇に切り替わり、180度かけて12時の位置へと帰ります。が、インパクトで最大圧力を得るため、270度が下降の90度が上昇という割合で、スイングの円を作るのです。
バックスイングは、6時の位置からクラブが7時、8時、9時と3段の階段を上がるようなものなのに対し、ダウンスイングは身体が回転しながら階段を降りますから、階段のステップが長くなります。1段降りたらすでにインパクト付近で、その後2段降りてクラブは最下点である3時付近に到達します。
7時と9時の間の3段の階段を上り降りしたときに、上がるときと降りるときで階段の幅が違うという現象を身体の動きで作るわけです。PGAツアーの選手がインパクトからインサイドの下めに振り抜くような素振りをよくしますが、あれを「カットに振ろうとしている」と見るのは間違いで、クラブが下降を続けながらボールをとらえるというイメージを作っているのです。
その証拠に過去ではタイガー・ウッズ、現代でもリッキー・ファウラーなど多くの選手がこの素振りをしますが、その後に打つショットを右に曲げるかというとそうではなく、逆にドローボールを打ったりしています。あれをカットと見るのではなく、理にかなった使い方のリハーサルと見ることが、現代のゴルフには必要です。
【書誌情報】
『一生ブレない身体のスイング』
著者:永井延宏
ゴルフのスイングはゴルフクラブと自分のバランスが大切。最新のクラブヘッドが大型化するにつれて、クラブに働く力と自分の力を均衡させることが重要になっている。この本では、最新のクラブを題材に、いまのクラブに合ったボールの打ち方を写真でわかりやすく解説。さらに、クラブに働く遠心力など、見えない力に負けない身体の効率的な使い方を練習ドリルとともに紹介。「入れ替え動作」という、身体の動かし方を写真でくわしく説明している。
公開日:2020.08.18