ドーパミンが幸福感を高めるのが原因
絶対に勝てるギャンブルはありませんが、そこに不確実性が内在していることで、人を惹きつけるのです。人間の脳は不確実なもの惹かれる傾向があるのです。
だからこそ、当たったときには舞い上がるような喜びを感じます。脳のなかでは、当たった瞬間、報酬系の物質であるドーパミンが分泌されます。
別名「快感物質」ともいわれるように、ドーパミンは幸福感や意欲を高めるホルモンです。
これが何度かくり返されるうちに、ドーパミンを分泌する前頭葉を中心とする神経回路網が強化されていきます。こうして、脳自体が高揚感を求め、あの喜びをまた味わいたいと欲するようになり、いわゆるハマった状態に陥っていきます。
しかし、ギャンブルで幸福を感じるのはほんの一瞬。たとえ儲かったとしても、賭け続ければ最終的には必ずマイナスになります。ルール自体、胴元が儲かるようにつくられているからです。
人生も、ある種のギャンブル的要素があります。入試、就職、恋愛、結婚、仕事など、どれも成功するかどうか最後までわかりません。
ただし、人生とギャンブルはルールが違います。ギャンブルは必ずマイナスになりますが、人生は一生懸命努力することで、プラスになる確率を高めることができます。
人間は不確実性に惹かれるものですが、それで喜びを得たいのであれば、ギャンブルにハマるよりも勉強や恋愛、仕事といったことにエネルギーを注いだほうが、ずっと意義のあることだと思うのですが。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。
公開日:2020.09.10