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コンピュータもひらめくことができる?【脳の話】

Text:茂木健一郎

コンピュータが「ひらめく」とは?

2000年にノーベル物理学賞を受賞したのは、アメリカの電子技術者のジャック・キルビー(1923〜2005年)でした。

1958年、それまでさまざまな電子デバイスをつなぐことでつくっていた電子回路を、1つのシリコン基板上につくってしまう「集積回路」のアイデアを思いつき、実際に製作・量産することに成功したからです。

このひらめきがなければ、今日の多彩な電子機器は生まれなかったでしょうし、インターネットもAIも出現していたかどうかわかりません。歴史上もっとも偉大なひらめきといっていいかもしれません。

さて、ジャック・キルビーのひらめきから発展してきたコンピュータですが、決められた手順に従って問題を高速で解くことにかけては、人間の能力をまったく寄せつけないところまできています。

しかし、決められた手順から外れて、何かを思いつくことや、ひらめくことはいまのところできていません。

日本のこれまでの学校教育は、「正解のはっきりした問題を早く解く」ことを最優先として教えられてきました。しかし、こうした作業は現在、コンピュータが圧倒的なスピードをもって担っています。

そうなると、人間の脳には、いままで以上に人間の脳にしかできない能力が求められます。そこで、ひらめきです。人間の脳だけがそれを生むことができるからです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。