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AIの知性と人間の知性とでは、どう違う?【脳の話】

Text:茂木健一郎

直感や思いつきが人間の知性のカギ

1997年、IBMが開発したコンピュータプログラム「ディープ・ブルー」が、チェスの世界チャンピオンを破ったというニュースが世界を駆け巡りました。「ついにコンピュータの知性が、人間の知性を超えた」と大騒ぎになったのですが、専門家たちはいたって冷静でした。

なぜなら、ディープ・ブルーの思考プロセスは、人間の思考プロセスとは似ても似つかないものだったからです。

人間の場合、直観が先にあり、それを論理的な読みで裏づけていきます。将棋の棋士であれば、最初の数秒のうちに指すべき手は直感的にわかってしまうといいます。その後のもち時間は、直観でわかった手を論理的な読みで補強して、最善手を指す確率を上げていくのです。

一方、ディープ・ブルーは1秒間に億単位の先読みを行なうようにプログラミングされていました。膨大なデータベースから、可能な指し手を論理的に検索するようにつくられているだけでした。

ほんとうに人間の知性に近い「考える機械」をつくるためには、人間の日常の何気ないふるまいの背後にある脳の働きを理解する必要があります。

人間の日常の会話などは、ゲームのようなルールや正解がなく、思いつきの部分が大きいからです。

人間同士の会話は、相手のいうことに合わせて臨機応変に適切な言葉をくり出していく必要があります。言葉が生み出されるこのプロセスを、脳の直感のメカニズムが支えているのです。そして、このような思いつきこそが、人間らしい知性なのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。

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