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人間の脳を人工的につくり出せる?【脳の話】

Text:茂木健一郎

AIのおかげで「ちゃらんぽらん」に生きていける

AIが発達してくると、「コンピュータが人間のような意思をもつ時代が来るのだろうか?」といった疑問が、当然ながら出てきます。これについては、現時点のAIには人間のような意思や感情は実装されていません。

ここで、参考までにAIと人工生命の違いについて考えてみましょう。

人工生命というのは、人間の手によって人工的に設計された生命のことですが、この人工生命が進化していけば、きっと欲望をもつことでしょう。人工といえども「生命」ですから、子孫を残したいとか、生き延びたいとか思ったりすることは、生命の根源的な欲求だからです。

ところが、人工生命の研究はAIの研究に比べてはるかに遅れています。いまだに細胞1つでさえ、人間は生み出していないのです。そのように考えれば、人間の脳を人工的につくり出すなどということは、夢のまた夢といえそうです。

ですから、これからの時代は、私たち人間は「生きる」ということをもっと大事にする時代になると私は考えます。そしてそれは、意思や感情をしっかりともつということでもあります。

たとえば、AIがシェフになっておいしい料理をつくってくれたとしましょう。でも、AI自身はその料理を食べて「おいしい!」と感激することはできません。感激できるのは、人間だけです。

そこに人間の存在価値があるわけです。だからこそ、AIの発達によってこれからは、私たち人間の生き方が問われる時代になると考えます。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。