佐久間馨はこんな信念を持っている
次に、先ほど説明したようなアイデンティティを持った私、佐久間馨がどういう信念を持っているかを説明しましょう。今から説明する私の信念は、ゴルフだけに限定したものではなく、人生を歩んでいくうえで、「絶対に間違いない」と確信しているものです。
①結果をじっくりと見れば、必ず原因が見つけられる。
1966年、札幌発の全日空機が羽田空港に墜落するという事故がありました。その事故の記録(『最後の30秒― 羽田沖全日空機墜落事故の調査と記録』)を、高校生の時に読んだことがあるのですが、パイロットと管制塔の交信記録や落ちた機体の残骸などから、事故の原因を特定していくプロセスに大変興味を惹かれたのを今でもはっきりと覚えています。以来、私は物事には必ず原因があり、その原因を見つけることは間違いなくできるという確信を持つようになり、それが私という人間を支える信念のひとつとなりました。この信念があったからこそ、私はゴルフを始めたばかりの頃から「ゴルフは簡単だ」と思えたのです。ボールを打って、その球が曲がった。曲がるのには原因があると考える。やがて、ボールが曲がったのは、ボールが曲がるようにクラブヘッドがぶつかったからということに気がつく。すると、逆にこうやってクラブヘッドをぶつければ、こう曲がるということがわかる。こんなことを繰り返すうちに、ボールの曲げ方を完全にマスターしたのです。
②どんなことにもうまくやるための方法がある
実は、私にはゴルフよりも得意な特技があります。それは、マジックです。 マジックには子供の頃からすごく興味があって、いろいろなマジシャンの手品を研究しました。その結果、「どんなに有名な手品師だって、魔法使いではないのだから、どんなに謎めいたマジックにだって、必ず「やり方」が存在している。だとすると、そのやり方さえわかれば、練習なんかしなくても、いつでもうまくできる」という信念が自分の中にでき上がったのですゴルフも同様に考えています。「まえがき」にも書きましたが、私の考えでは、この世には「ゴルフのうまい人」も「ゴルフのへたな人」も存在しません。いるのは、ゴルフをうまくやる方法を知っている人と、知らない人、もしくはやり方がへたな人、こんなふうに私は考えています。。
③すごい人なんかいない
ゴルフのうまい人を「すごい人」と表現するのをよく耳にしますが、私はすごい人も世の中にはいないと思っています。たとえば、タイガー・ウッズがトーナメントに出場して、最終日の最終ホールでボールを池に落としたとします。そのボールが、池に入ってから10秒後に飛沫をあげて飛び出し、ピンそばに寄ったりしたら、それは確かにすごいことですが、タイガーだって人間なのでそんな芸当はできません。
タイガー・ウッズがテイクバックしないで、3 0 0 ヤードのドライバーショットを打てれば、それはすごいと私も思いますが、実際には3 0 0 ヤード飛ばせるだけのテイクバックをしているのだから、ごく当たり前にボールが飛んでいっているだけで、何もすごいことではありません。世に言われている「すごい人」というのは、ごく当たり前のことをすごくうまくやる人のことを指しているので、すごいことができるわけではないのです。マジックの場合、マジシャンがしかけをバレないようにしているので、やり方を知らない観客が、「すごいこと」が起きていると錯覚するのは無理もありません。しかし、ゴルフの場合、どんなプレイヤーも球を打つ過程はオープンにしてプレイしているので、何が行なわれているのかは一目瞭然です。
一流と呼ばれているプロは、正しいことをやっているので、高い確率で求めている結果を手にしているだけで、なにも「すごいこと」をやっているわけではありません。ごく普通のことをすごくうまくやると「すごい人」と呼ばれるようになるだけです。
そもそも「うまい」とか「へた」というのは、人につく形容詞ではなく、やり方につく形容詞です。だから、「うまくいくやり方」をすれば、結果もうまくいく、それだけのことなのです。
【書誌情報】
『信じればパープレイは必ずできる! 「思い」で叶えるゴルフ上達法』
著者:佐久間馨
「ゴルフを上手くなりたい」と考える人は、自分のスイングを直そうとします。それもひとつの方法ですが、スイングを直すだけではスコアアップは望めません。「練習不要」をうたい、「練習ぎらい」を書名にした著書もある本書の著者は、「パープレイは誰でもできる」と言います。その方法となるのは、プレイの発想方法とやり方を変えること。簡単にスコアがよくなる発想方法があるのです。この本では、その方法を数多く紹介しています。明日コースに出る人でも実践できることばかりで、ゴルフがより一層楽しくなるはずです。
公開日:2020.10.08