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投球パフォーマンスを高める柔軟性/身体操作性/筋量/筋出力の4要素を一致させる感覚を養う方法とは?【革新的投球パフォーマンス】

Text:高島誠

4要素を一致させる「感覚」を養うには?

投球パフォーマンスを高めるには、柔軟性、身体操作性、筋量、筋出力をバランスよく高めることが大切だと2章で書きました。これらの4つの要素をピッチングの中で一致させるのが「感覚」です。

感覚を高めるために行うのが「トレーニング」という位置づけです。本書で紹介しているすべてのメニューは、投球動作で必要な感覚を磨くためのものです。トレーニングに取り組む際には、ピッチングをしているイメージを持ちながら行ってください。そうすることで、投球パフォーマンスに結びつきやすくなります。

トレーニングを行う際に意識してほしいのが「姿勢」です。自分にとって楽なポジションで、力を抜いて動いてください。理想の姿勢で動けないと、投球パフォーマンスが一定しにくくなります。逆に言えば、投球動作の中で理想の姿勢を取れるようになることがトレーニングの目的に含まれます。

動きの中でスムーズに身体操作できる感覚を養うために、オススメしているのがパルクールです。もともとフランスで生まれた移動術で、軍事教練や警察官、消防官のトレーニングとして取り入れられました。「走る・跳ぶ・登る」という移動における身体操作を通じ、心と身体を鍛えるスポーツです。私がGMを務める東広島ポニーではパルクールコーチにプログラムを組んでもらい、ウォーミングアップの中で取り組んでいます。

パルクールは平地ではなく、障害物の上で行われます。1章の「姿勢」で「母趾球と小趾球に重心を乗せる」のが理想的な立ち方と書きましたが、パルクールで使用されるレールの上では、かかと重心では立てません。つま先重心で脱力し、身体の筋力をコントロールする方法が自然と身についていきます。これは投球パフォーマンスの向上にもつながる身体の使い方です。

よく言われる話ですが、昭和の子どもは山の中を走り回り、川で泳ぎ、木を登って遊んでいました。マンションや家の壁、公園のジャングルジムを登り、そこから飛び降りてもケガしないような身の使い方を自然と覚えていきました。

ところがいつしか、「危ない」という理由でそうした遊びはされなくなりました。ボール遊びをできる公園も限られています。昔は公園や広場にみんなで集まり、自分たちで楽しみながら投げ方や打ち方を試行錯誤して身につけていきました。しかし今は、野球を始めたければ学童野球のチームに入ります。ほとんどゼロから運動を始める少年・少女に、打ち方や投げ方を教えるのは非常に難しいと思います。

一方、パルクールではレールや障害物の上でどうすれば動けるようになるかがプログラムとして構築されており、野球やスポーツをする上で土台となる身体の動かし方を見につけることができます。どのように自分の身体を操ればうまく動けるか、感覚が足りていない選手はパルクールを通じて得られることがたくさんあります。レールの上で養われる重心位置の感覚は、野球と非常に共通しています。

数年前、プランクという体幹トレーニングが流行したのをご存知でしょうか(うつぶせになった状態で前腕と肘、つま先を地面につき、その姿勢を保つトレーニング)。正しい方法で行えば体幹やインナーマッスルを鍛えることができますが、野球には止まって身体を使う場面がありません。動きながら体幹を締めたり、緩めたりできるようになることが大切です。それにはパルクールはうってつけです。

具体的なトレーニング方法を紹介する前に一つ伝えておきたいのは、パルクールのプロが行っている動画を見て、いきなりマネしないでください。最悪、ケガにつながります。例えばパルクールの基本を知らないままレールに土踏まずで乗って立てたとして、その体勢からジャンプします。これは足の裏を壊すためのトレーニングになりかねません。体重が後ろにかかると、膝が伸びて痛めてしまいます。

本来、パルクールの利点は安全性を確保して行えることです。本書でも留意事項を明記しているので、そこを意識しながら導入、実施においてはプロのコーチによる監修、指導の下で行うようにしましょう。身体操作性を高める上で、非常に役立つと思います。

出典:『革新的投球パフォーマンス』高島誠

『革新的投球パフォーマンス』
著者:高島誠

「高校生なら誰でも140km/hを投げられるようになる」という命題に明確な回答をする超実践本!近年成長著しい広島県私立武田高校で強化メニューを担当するトレーナーの高島誠の下には、山岡泰輔投手や高橋礼投手というプロの投手たちもシーズンオフにトレーニングにやって来ます。高島はどんな指導をして成長に導いているのか。その考え方や練習&トレーニング方法を写真とQRコードで詳しく解説!

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