地球の大気と水の大循環は太陽のおかげ
太陽から放出されたエネルギーで、地球に届くのはわずか20億分の1だといわれています。こうして地球に届いたエネルギーも、雲や地表面による反射などで、その3割近くは宇宙空間に放散されています。
地球はほぼ球形です。赤道付近では真上から太陽のエネルギーを受けられますが、高緯度の北極や南極地域では斜めに受けることになり、面積に対して受け取るエネルギーが少なくなります。それに氷雪による反射が加わります。地表面が氷雪に覆われているエリアでは、反射率が80パーセントに達します。つまり太陽のエネルギーを受け取りにくい極地域は氷雪を蓄えやすく、そのために反射率も上がって、寒冷化がさらに進行するのです。
このように、赤道付近と極地域では太陽から受け取るエネルギーの差は非常に大きいのです。もし熱エネルギーが移動しなければ、高緯度地域と低緯度地域の気温差は100度に及ぶと考えられます。ところが、この巨大な温度差こそが、地球全体の大気を動かす原動力となっているのです。
高緯度地域が冷えると、低緯度地域の熱エネルギーは大気を通じて高緯度地域に移動します。エネルギー移動は水平方向にも起こり、地球全体の気候を調節する大気の大循環システムとなっているのです。大気だけではなく、水も同様の大循環をします。温められた低緯度地域の海水は高緯度地域へと流れます。それが海洋大循環のシステムです。まさに、太陽こそ「地球システム」を支えるエンジンといっていいでしょう。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一
「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2024.02.26