「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる領域
冥王星が位置するのは、海王星の外側にある「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる小天体の集まっている円盤状に広がったエリアです。ここに属する天体を「エッジワース・カイパーベルト天体」、または「太陽系外縁天体」と呼びます。
海王星の外側にそのような領域があるとわかったのは1992年のことです。うお座のなかで1つの小天体が発見されました。ほとんどの小天体は火星と木星の間にある小惑星帯を回っていますが、1992QB1と仮の名前がつけられたこの小天体は海王星の外側を回っていることがわかったのです。その後もそのような小天体がいくつも見つかり、現在では「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる領域2500個以上見つかっています。
エッジワース・カイパーベルトは、太陽から遠いことから、この領域の小天体は惑星に成長する速度が遅く、さらに惑星になるための材料もないため大きくなれないまま存在しているようです。 そんな小天体は相互衝突によって集積していると考えられています。その証拠の1つとして、エッジワース・カイパーベルトには衛星をもつ天体が多いことが挙げられます。これは、衝突の際、残骸がもう片方の周囲を回る軌道に乗ることで衛星となったと考えられるからです。
そして冥王星ですが、なんと5つの衛星をもっていることがわかっています。小惑星として認められている天体で、衛星を3つ以上もっているのは冥王星だけ。冥王星の衛星は、カロン、ニクス、ヒドラ、ケルベロス、スチュクスの5つです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一
「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2024.05.09