太陽系外縁天体のずっと先にはオールトの雲が
太陽系のいちばん外側の惑星である海王星は太陽と地球の間の距離1天文単位(約1億5000万キロメートル)の約30倍のところを回っています。それよりさらに外側、太陽から約100天文単位離れたあたりに、準惑星の冥王星やエリスなどが集まったある領域があります。
現在、太陽系外縁天体は、およそ2500個確認されていますが、まだそのような天体が発見されていなかった1943年と1957年に「海王星以遠の太陽系外縁部に多数の小天体が円盤状に分布している」という仮説を立てた2人の天文学者がいました。エッジワースとカイパーです。やがて1992年に冥王星よりも遠い天体1992QB1が発見されて以降つぎつぎと天体が発見され、ようやく2人の仮説が立証されたのです。そこでこのエリアは「エッジワース・カイパーベルト」と名づけれました。そのさらにずっと遠く、太陽系の外側にあると考えられているのが「オールトの雲」です。
オールトの雲は、球状の氷とちりの小天体の集まりで、これが太陽系の最外縁を取り巻いていると考えられています。1950年にオランダの天文学者ヤン・オールトが長周期彗星や非周期彗星の起源として提唱し、こう名づけられました。
オールトの雲は直接観測されたことはありませんが、太陽からおよそ1万天文単位、約10分の1光年のところにあると考えられ、1兆個単位の数の天体が球状のように分布していると推測されています。オールトの雲がどこまで広がっているかまだわかっていませんが、1万〜10万天文単位と考えられています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一
「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2024.05.14