一番の違いは診断と薬物治療
心の病気の専門家といえば、精神科医を思い浮かべる方も多いと思います。それでは、公認心理師と精神科医の違いはどこにあるかご存知でしょうか?
精神科医は、国家資格である「医師免許」を取得した医師で、「精神医学」の専門的な知識を持っており、心の病気を抱える人の診察、病名の診断、薬物治療、処方箋の発行といった「医療行為」を行うことができます。
一方、公認心理師は、ここまで解説してきたように、臨床心理学を基にした「心理療法」によって、心の病気を抱える人の心理的アセスメントや心理相談によって、心の健康の回復を支援することが主な役割です。診断による病名の決定や薬物治療などは行うことができません。これが精神科医との根本的な違いです。
また、心の問題を扱う診療科には、「精神科」と「心療内科」のふたつがあります。どちらも、心の病気を専門としていますが、精神科が対象とするのはうつ病、統合失調症といった心の病気です。一方、心療内科はストレスや心理的影響によって、頭痛や腹痛などのさまざまな身体症状が現れる「心身症」を扱います。ですので、心理的な症状がつらい場合は「精神科」を、身体症状がつらい場合は「心療内科」を受診するといいでしょう。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史
ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。
公開日:2023.05.08