スマートフォンやパソコンでゆがむ人が急増
体のゆがみは、長い年月をかけて徐々に形成されていく場合もあれば、過度のデスクワークなど数カ月で引き起こされる場合もあります。いずれにしても、ゆがみはクセや日々の習慣によって生じることがほとんどです。近年、ゆがみの要因としてもっとも多いのがスマートフォンやパソコンの使用です。人間の頭の重さは体重の約10%といわれ、その重い頭を下に向けたまま長時間、操作することで首の骨がまっすぐになってしまいます。現在、このストレートネックになる人が急増しているのです。ストレートネックになると首の後ろの筋肉が硬くなり、首を後ろにそらすことが困難になります。また、背中が首の負担を補おうとするため猫背につながりやすくなるのです。
パソコンを使うときも同様です。頭部を前に突き出し、肩が内側に入った「巻き肩」の姿勢で長時間座りっぱなし、という人も多いでしょう。これでは首や肩のこり、腰痛になっても仕方ありません。さらに、スマートフォンやパソコンから照射される明かりは脳に緊張をもたらします。脳の緊張は筋肉の緊張にもつながり、より体に痛みが出やすくなるといわれているのです。
ゆがみやすい立ち方、座り方に要注意
人間が静止しているときの基本姿勢は立つ、座る、寝るの3つですが、これらの姿勢の乱れが続くと、おのずとゆがみを招きます。たとえば立っているとき、いつも同じ側の足に重心をかけたり、正しい姿勢だと思って腰をそらせていたりしませんか。反対に、意識しないでいると自然に猫背になっている、という人も少なくないはずです。こうした誤った立ち方は、おもに背骨のゆがみに影響をおよぼします。よく電車のなかでドア付近に寄りかかりながらスマートフォンを見ている人がいますが、これはゆがみを招くよくない姿勢の代表例です。
座っているときは同じ姿勢が長時間、続く傾向にあります。そのため、立っているときよりも座っているときのほうがゆがみが生じやすいといえます。いすに座っているとき、足を組んだり、前や後ろで足を交差させたり、浅く座って背もたれに寄りかかったりすると、骨盤や足のゆがみにつながります。ほおづえをつくことも背骨をゆがませます。家のなかでは床に座ることも多いでしょうが、ゆがみに直結する座り方が多いので注意が必要です。たとえば、両足を横に流すおねえさん座りは上品に見えますが、背骨や骨盤が傾いています。一方の足を立て、一方の足を横に倒す立てひざも、骨盤のゆがみを招きます。あひる座りやあぐらは骨盤が広がりやすくなり、股関節も曲がってO脚やX脚、ガニ股などの原因になります。ソファに座るときも、長時間、背骨を曲げたりそらしたり、腰をねじったり、あぐらをかいたりしないようにしましょう。座るときは、クッションなどを背中に当てると、きちんと骨盤が立つようになります。
【書誌情報】
『ゆがんだ「背骨」の整え方』
著者:栗原隆 「栗原隆ウェルネスクリニック」院長
医師・医学博士。日本医師会認定産業医・健康スポーツ医
体のゆがみの多くは、姿勢や行動のクセによって起こります。肩こりや腰痛だけでなく、不定愁訴や内臓疾患の原因になっているかも。そんな体のゆがみを治す、簡単な体操を紹介する本です。メインはハイハイ体操。一日5分、赤ちゃんみたいにハイハイするだけ。背骨まわりの筋肉のバランスが整い体のゆがみが改善します。肩こりや腰痛などの痛み、猫背やそり腰、おなかぽっこりなどの見た目、冷えや不眠、生理痛などの不定愁訴が改善。それ以外にも、正しい歩き方や組み合わせる体操などを紹介しました。自分のゆがみをチェックして、さっそく始めましょう。
公開日:2021.02.11