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認知症の予防にも期待ができるエキセントリック運動とは!?

Text:野坂和則

加齢による脳機能低下を予防する可能性も

エキセントリック運動が脳機能の低下を予防し、脳を強化する。そんな期待が高まる研究も進められています。

すでに紹介したサイクリングマシンを使い、運動中の認知能力を比較した実験があります。繰り返しになりますが、コンセントリックは普通に自転車のペダルを漕ぐ動き、エキセントリックはモーターで逆回転しているペダルを、前へ押し出すように漕ぎます。ペダルを漕ぎながら、あるシグナルが出たら反応する、というテストです。

その結果、エキセントリックな動作のサイクリングは、コンセントリックな動作のサイクリングよりも、シグナルへの反応が15%程度遅くなりました。★反応の間違いもコンセントリックは10%程度、エキセントリックは20%程度となりました。

ここからわかることは、コンセントリック運動が「簡単に、無意識に行える」のに対し、エキセントリック運動は「より頭(脳)を使わないと行えない」ということです。例えば、階段を上る(コンセントリック運動)ときは考えごとをしながらでも上れますが、階段を下りる(エキセントリック運動)ときは用心深くなるはずです。山登りでも同じことが言えます。経験のある方ならよくわかると思いますが、登るとき(コンセントリック運動)は無心で、景色を見る余裕もありますが、下山するとき(エキセントリック運動)は足場を確保したり、滑らないようにしたりして、頭で考える必要があります。

つまり、エキセントリック運動には、脳を使った認知的な能力が要求されるのです。それゆえ、日常的にエキセントリック運動を実践すれば、それが脳に対する刺激となり、加齢による脳機能の低下を予防できる可能性もあります。

【書誌情報】
『ゆ〜っくり座れば、一生歩ける!』
著:野坂和則

一生歩ける足腰はゆ〜っくり座ることで鍛えられる!「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性は約72歳、女性は約74歳です。誰でも歳をとるにしたがって身体機能は衰えていきますが、その衰え方には大きな個人差が。その個人差の要素のひとつが「運動」です 。運動をしている人とそうでない人では、健康寿命に大きな差が出てきます。運動といってもいろいろありますが、健康寿命を高めるには脚の筋力を維持し、向上させる筋力トレーニングが必須です。しかし、そうは言っても普通の筋トレはつらそうだし、なかなか重い腰が上がらない……という方にこそ実践して頂きたいのが本書で紹介している「エキセントリック運動」です。ゆ~っくりイスに座る時、大腿の前側の筋肉は伸ばされていきます。これが典型的なエキセントリック運動です。本書では、自宅でできるエキセントリック運動を紹介しており、どうしてエキセントリック運動が一生歩けるような足腰をつくるのに適しているのか解説しています。試しに、ゆ~っくりイスに座ってみて下さい。それだけでもかなり脚に効いていることがわかるはず。つらくないのに効果は絶大――。エキセントリック運動をすれば、10年分の筋力低下を、たった2ヵ月で元に戻すことも可能です。転ばぬ先の杖、一生歩ける体でいられるように、今日から準備を始めましょう。高齢者の方はもちろん、家族全員でぜひ読んで頂きたい一冊です。