「チャレンジ反応」と「思いやり反応」
「ストレスは良いもの」というのは、単に感覚的な話ではありません。人間がストレスを受けたときに示すある反応がそれを証明しています。
1915年、ハーバード大学の生理学者ウォルター・B・キャノンは、ネコにストレスを与えると「闘う」または「逃げる」という反応を示すことを発表しました。以来、人間もネコと同様にストレスがかかると「闘争・逃走反応」を示すと考えられてきました。ところが実際には人間はそれとは全く異なる2つの反応を示していたのです。
1つ目が「挑戦(チャレンジ)反応」です。人間はストレスを受けるとそれをバネに挑戦しようという気持ちが湧き起こります。強いストレスを受けたときこそ大きな「リバウンド効果」が得られると、アメリカのデーヴィス博士も提唱しています。2つ目が「思いやり反応」です。好きな人と愛し合うときや女性が赤ちゃんに授乳をするとき、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。別名「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンには、「人とつながり合いたい」という気持ちを高める働きがあります。このホルモンがストレスを受けたときにも分泌され、人と人とを結びつける原動力になっていたのです。
このようにストレスにポジティブに反応できるのは人間ならでは。だからこそ私たちは積極的に
ストレスを受けるべきなのです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 ストレスの話』
著:ゆうき ゆう
「ストレス社会」といわれている現在、
科学や技術の発達で快適になっていく日々の生活とはうらはらに、
ストレスからくる心身の不調に多くの人が悩まされています。
ストレスの原因は仕事や学校、家庭、SNSなど人によってさまざま。
特に最近では、新型コロナウイルスの影響で
これまでの生活様式が大きく変化し、何かと行動も制限されました。
それにより、たまったストレスをうまく発散できずに常にイライラしたり、
不安感がいつまでたってもぬぐえずあまり眠れなくなったり…
また、ストレスは自律神経を乱す原因になるため、
放置すると免疫力も下がり、体の不調を招くことになります。
近年20~30代に多く見られる「過敏性腸症候群」はそのひとつで、
病院に行って検査をしても異常がみつからないのに、
日々便秘や下痢などの腹痛に悩まされる病気です。
早いうちに対処しなければ、
毎日腹痛におびえながら生活しなければならないという
新たなストレスが加わって悪循環に。
本書では、そんな諸悪の根源であるストレスの解消法を医師が解説。
そもそも自律神経が乱れるまでストレスをため込まない男女別の考え方と、
たまってしまったらすぐに自宅で解消できる方法を、
メンタルマネジメントや栄養、運動など実用的な内容で紹介しています。
公開日:2021.08.08